導入レポート

株式会社パスコ

株式会社パスコ


  • 調査研究員
    木口 裕史 氏

  • 調査研究員
    木村 謙介 氏
所在地 東京都目黒区
店舗代表者 代表取締役社長 目﨑 祐史
開設 1953年10月
資本金 87億5848万円(2012年3月31日)
事業内容 各種測量事業など地理空間情報サービスほか

最新機器、システムを組み合わせ
独自手法で挑む文化財の3D測量

株式会社パスコは、空間情報の取得から分析、提供までトータルに行う空間情報サービス企業です。ワールドワイドに展開する同社の事業フィールドでも、ユニークなのが文化財関連事業。同社文化財センター所属のスタッフが、世界遺産レベルの文化財を最新の機器、システムを駆使して計測しています。BLUETREND XAからXYCLONE、そしてLandTrace-Evolutoまで駆使する、パスコ文化財センターの木口氏、木村氏にお話を伺いました。

考古学の知識を生かした測量業務

文化財に特化した測量事業とは?

木口氏

ご存知のとおり、道路を造ったり建物を建てる時は、建築申請などさまざまな申請が必要です。特に予定地が埋蔵文化財を包蔵する地域だと、文化財の有無を確認しなければならず、もし出てくれば緊急発掘です。教育委員会の学芸員が発掘調査し、記録写真を撮ったり、図面を作成しますが、さすがに写真測量やレーザー測量は難しいので、当社のような測量会社が測量関連業務をサポートします。また、重要文化財や世界遺産などを保存管理するための図面等を作るお手伝いもしています。

一般的な測量とはかなり違いますね

木口氏

一番の特徴としては一つとして同じ対象がないという点です。だから計測対象となる文化財がどういうものかきちんと理解して、それに合わせて現場ごとに新しい手法を工夫しなければなりません。実は私も木村も専門は考古学なんです。考古学の知識を生かして行う測量なんですね。

学術的調査はじっくり時間をかけて?

木口氏

調査期間は決まっており、それが終われば測量もできません。上手くいかなかったから来週もう一度、とはいかないんです。緊急発掘の場合も工事を止めるので、できるだけ期間を短縮し、事業者の負担を減らさなければなりません。そこで最新機器やシステムで作業の効率化や精度の向上を図っています。3次元測量も、その流れの中で導入しました。

3次元測量はいつごろから?

木口氏

レーザーを使い始めて11年ほどですが、当初は機材が重過ぎたり処理速度や後処理のソフトの問題で、なかなか実用化には至りませんでした。しかしここ2~3年、BLUETREND XAやLandTrace-Evoluto、XYCLONE等が登場し、ハード、ソフトとも性能が向上しています。レーザーを用いた3次元測量の案件も増えていますよ。

国指定史跡地下の洞穴を3Dスキャン

最近の事例をご紹介ください

木村氏


具志川城跡(糸満市)での
レーザースキャン作業

沖縄の案件では、糸満市の国指定史跡「具志川城跡」やうるま市の世界遺産「勝連城跡」があります。具志川城跡は、沖縄本島最南端の喜屋武岬の断崖上にある三方を海に囲まれた城跡で、たいへん雄大な景色の美しい城跡ですが、それだけにいろいろ問題があります。その一つが海水による浸食作用。城跡がある崖の下の部分がどんどん削れており、落盤して城跡ごと落ちてしまう危険性が指摘されていました。

そこを3次元測量したんですか?

木村氏


断崖外側をどうやって
スキャンするか(勝連城跡)

ええ。3Dレーザースキャニングで計測したデータを元に城跡をパソコン内に3次元で再現し、要望があればどこでも断面を切って提供できるようにしようというわけです。崖の下は洞穴のようになっているんですが、その中までレーザーを持ち込んで内部も計測しましたよ。

洞穴部分のデータも必要なんですか?

木村氏

下の空洞が危険なので、コンクリートの擬岩で埋めることになったんです。そこで、埋めてしまう前後を比較できるよう両方計測してほしいと要望されました。また複雑な形状の空洞に充填する、生コンの量を調べる必要もあったんです。もちろん上部の城跡も、崩落した石積みを積み直したり、埋っている基壇部分を見つけて元の城郭を復元したりするため3次元測量が必要でした。

難しい作業ですね

木村氏


スキャンした点群データの
ゴミを除去するデータクリーナ

時には引き潮の時を狙い潮間帯にレーザースキャナを据えて測りましたね。膝まで波に浸かりながら「レーザーを落したら●千万だ!」なんて話しながら(笑)

木口氏

空洞は大きな穴なので入りやすかったですよ。ただ、空洞のボリュームを出すには従来方式では誤差が大きすぎるので、レーザーで詳細な縦横断面図を作成しました。

現場ごとに編み出す新しい手法

LandTrace-Evolutoも使いましたか?

木村氏


勝連城跡(うるま市)での
レーザースキャン作業

ええ。こうした場所でいちばん問題なのが一面に生えている草なんです。私たちにとっては地表面を定義するデジタル標高モデルDEMの方がいいのですが、城跡などでは、植物などに厚く覆われている場合が多いんです。そのままレーザーで計測しても木や雑草や歩いている観光客まで計ってしまうので、植物等は除去しなければなりません。そこで草刈り等が必要になる。沖縄ではこれにかなりの時間を取られていました。そこで導入したのが、LandTrace-Evolutoです。

どのように使ったんですか?

木口氏

特に活用したのは、LandTrace-Evolutoのデータクリーナというオプションです。取得した点群データにメッシュを発生させて、たとえば1mメッシュ内の最低標高だけ残す、といった加工ができ、無駄な点が減らせて作業がすごく楽になるんです。まだ使い始めたばかりなので手探りですが、1週間かかっていた作業が1日で終わる感じで、1/5とか1/10に短縮された実感がありますね。現在私が担当している勝連城跡でも使っていますよ。

勝連城跡はどのような現場ですか

木口氏

こちらは石垣カルテを作るための石積の悉皆調査(※別注)です。石垣のこの部分にいつどんな修復が施されたか、どんな亀裂があるのか、石一つひとつに精密なカルテを作って修復保存に生かそうというのです。3Dレーザースキャンは、石垣の断面や石積の孕み(膨れ)、崩れの様相を把握するために使います。遺跡の石垣の修復計画は以前からありますが、石垣カルテは比較的新しい試み。沖縄県ではたぶんこの現場が初めてです。

これも断崖の上ですね

木村氏

そうです。上部の石垣は周辺が断崖になっているんで、崖上の石垣の外側をどうやって計測しようかと・・・いやもう、命綱を張って崖を下りるしかないんですけどね。●千万の機器を背負って(笑)。

現場ごとに新しい課題が出てきますね

木口氏

毎回条件が違うので、その都度新しい機器やシステムを組み合わせて新しい手法を工夫して・・・たとえば最近導入したXYCLONEもその1つ。3Dスキャンでは出てこない遊歩道の境界などは、XYCLONEを使って押さえています。とにかくこの分野では、どんな手法を使ってでもより良いデータを作ることが求められます。だから、こちらもどんどん新しいものに挑戦できる。今後も新しい技術を積極的に取入れていきたいですね。


古墳など調査も数多く行っている

※2012年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

導入製品

レーザー点群作図システム
LandTrace-Evoluto MMS

レーザースキャナで取得した点群データを利用して、各種図面(地形図・断面図・立面図)を作成します。数値地形図の作成・更新業務や文化財遺跡等の調査業務で使用します。

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