導入レポート

株式会社 道端組

株式会社 道端組


  • 国土交通省 近畿地方整備局
    足羽川ダム工事事務所
    建設専門官 博士(工学)
    山本 一浩 氏

  • 株式会社道端組
    足羽川ダム3号工事用
    道路進入部整備工事
    現場代理人
    森田 泰広 氏

  • 株式会社道端組
    足羽川ダム3号工事用
    道路進入部整備工事
    監理技術者
    渡邉 博文 氏

  • 株式会社道端組
    工事計画部 副部長
    山口 訓久 氏
創業 1915年
資本金 5,000万円
代表者 代表取締役社長 道端茂昭
本社 福井市
従業員数 85名
事業内容 土木工事、舗装工事、建築工事ほか

急峻かつ複雑な形状の現場で
CIMを生かした3D MG が威力を発揮

福井県今立郡の九頭竜川水系で建設が進む足羽川ダムは完成すれば国内最大規模となる洪水調節専用のダムです。2014年4月、工事はまず3つの工事用道路の整備工事から始まりました。その1つを受注した道端組は現場にCIMを導入。大きな成果を上げました。工事の発注者である国土交通省 近畿地方整備局の建設専門官 山本一浩氏と現場代理人である道端組の森田氏ほか3氏にお話を伺います。

携帯もつながらない山奥でGPSなしの情報化施工を実施

まず現場の状況をご紹介ください

山本氏

ダム工事を行っていく上で、まず必要になるのが工事用道路の整備工事です。今回3つの工事用道路の整備が行われたんですが、道端組さんが受注した3号工事用道路は非常に急峻で、掘削や切土の作業が大変な地形でした。

森田氏

ええ、非常な急峻地でしかも大きくカーブしていて……元々は対岸に渡る架橋を付けてから山を切り、道路を入れていく入り口の工事で、実際はこの架橋段階から様々な問題がありましたが、照査の時から対策を考えてここは何とか進められました。しかし、対岸になってからの地形が問題で、勾配がきつすぎて、通常の丁張り作業などとてもできそうにない状態だったんです。

危険な状態ということですか?

森田氏

ええ。切土部分の勾配が途中で1割から6分、3分と変わっていくような地形で……補強土壁は垂直の壁を建てるので勾配がきつく、階段状に基礎を作らなければなりません。そのため、どうしても狭い所で機械が作業することになり、危険すぎて近くに人がいられない状況でした。情報化施工も当初は上の切土部分だけの予定でしたが、通常のやり方ではできそうにもないので、いっそ下まで3Dデータを生かしたマシンガイダンスを使おう、ということになったのです。 

CIMは初挑戦ですか?

渡邉氏

CIMの言葉を聞いたのもこの現場が初めてです(笑)。MGは2現場目ですが、前回は河川工事で盛土をして法を切る単純な工事だったんです。今回は初のCIMでしたし、現場も複雑だったので勉強になりましたね。特に3Dデータの作成は大変でした。座標の拾い出しで、もちろん平面図はあるんですが、クロソイドがかかった中で座標を拾うのが手間で……。段々になる一方で斜めに横断が入ってくる所まである、ややこしい地形だったんです。

データの作成はどのように?

渡邉氏

EX-TREND武蔵でX、Y、Zの座標を拾って、これを3Dのモデリングデータに加工のうえ、LandXMLデータを作成しました。初めてだったので専門業者にも協力いただきましたが、データさえできればマシンガイダンスによる掘削作業は順調に進められました。

山口氏

まあ、GPSが使えればさらによかったんですが、今回は現場がすごい山の中だったのでGPSが使えなかったんです。仕方なく、トータルステーションの自動追尾で行ってもらったんですよ。

山本氏

でも裏返せば、携帯電話も繋がらない山の中でもできたということは1つの成果だと思いますよ。自動追尾のTSさえあれば、こういうとんでもない山の中でも十分可能なのだと証明できたわけですから。

足羽川ダム3号工事用道路整備工事の現場状況

難しい現場こそCIMが必要となる

その外にも成果はありましたか?

森田氏

施工の手間が省けて工期を短縮できた実感があります。特に丁張りで作業員さんを待たせることもなく、最後までスムーズに進められたのが良かったですね。実際、工期は2月までの予定でしたが、年内に終えられました。雪が多い所なので、本格的に降り出す前に終えたいとみんなで頑張ったからでしょう(笑)。

渡邉氏

私は重機がデータ通り正確にコントロールされて掘削したことには驚いたし、素晴らしいと思いました。オペレータもMGを使うのは初めてでしたが、事前に3Dモデルを見て完成形をイメージできたので、分かりやすかったそうです。まさにCIMの効果ですね。おかげで思っていた以上に掘削も早く終われましたし、危険な急斜面での丁張りを避けられたこともあって、最後まで無事故だったのはすごく良かったです。

専門官はどうご覧になりましたか

山本氏

今まで監督した中で情報化施工現場も幾つかありましたが、今回は3種の勾配がある中でカーブまでかかっていて、難度の高い面倒な現場でした。その段取りの大変さを考えたら、非常に短期間できれいに仕上げていただいたと思います。これは素直に感動し、あらためてCIMと情報化施工の意義を痛感しました。

意義といいますと?

山本氏

CIMはこういう現場にこそ必要だ、と思ったんですよ。単純断面がどんどん繋がっているような所は、データ作りも簡単で誰だってできます。本当はデータも簡単に作れない、工事も難しい複雑な形状の現場の方がずっと必要性が高いでしょう。

山口氏

成果ということで言えば、3Dモデルはコミュニケーションツールとしても有効ですね。難しい現場でも現場や工事内容に関して理解が早まるし間違いも減る。現場のコミュニケーションに最適です。

渡邉氏

現場での3D活用は、今後の主流になっていくと思いますが、今の若い世代は3Dに馴染んでいるので、かれら若手の教育にも使えるのではないでしょうか。たいていの新人はどんなモノを作るのか全くイメージできないまま現場へ飛び込んできますが、CIMで3Dモデル化されていればイメージしやすいし理解も早い。いち早く現場になじめるでしょう。

今後の展開はどうお考えですか

山本氏

実は私は10何年も前からずっと3次元設計でやるべきだ、と言い続けてきたので、「ようやく」かなという実感があります。まあ、今回はCIMの成果はいろいろありましたが、残念ながら現状ではどこでも今すぐやれるわけではありません。特に問題は3Dモデルを作るツールで……CADベンダーには、よりやさしく簡単に3Dモデルが作れるツール開発を期待したいですね。

山口氏

その点は、福井コンピュータの「TREND-CORE」が1つの回答になるのではないでしょうか。出たばかりの新製品ですが、他社の3Dモデリングツールよりはるかに取っ付きやすく、感覚的にも機能的にも日本の現場になじみやすいと感じます。

山本氏

私も見ましたが、簡単に3次元化できると感じさせてくれるツールですね。部品も豊富なので、3Dモデルをカスタマイズしやすく、作りやすい感じです。とにかく現場の技術者にとって大切なのは、このTREND-COREなどの3次元ツールに、自分の手で触れてみること。そうやって自分で3次元モデルを作り、動かしてみれば、日本の現場にも3次元の時代が来ることが、はっきり分かるでしょう。その時になって「もっと早く始めていればよかった」ということにならないように、各社とも早め早めに取組んでほしいですね。

補強土壁部をTREND-COREでモデリング

※2015年発行のCONST-MAGで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

導入製品

CIM コミュニケーションシステム
TREND-CORE

土木施工業向けの国産CIMシステム。道路や法面など土木施工専用コマンドを標準装備し、属性や情報を付加することで3D-CIMモデル構築が可能です。これにより、2Dデータでは分かりづらい施工前のシミュレーションを3Dで確認できると共に、モデルに付加された属性情報を一元管理し、維持管理フェーズにおいて施工DBとしても活用が可能です。

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