遠方の現場と事務所をCIMPHONYで結び
高度な効率化とコストダウンを実現する
岐阜県大垣市のイビソクは、高度な計測技術を基盤に建設コンサルや文化財コンサル、補償コンサル等の事業を展開しています。長年のBLUETRENDユーザーでもある文化財部門では、今回新たにCIMPHONYを登録。活用を開始しました。その狙いと背景について同社の竹中課長に伺います。
工事用とは大きく違う文化財計測
- 文化財計測部についてご紹介ください
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竹中氏
一般のコンサル事業と並ぶ、弊社のもう一つの主柱が文化財事業です。歴史的価値を持つ遺跡などの文化財、発掘調査等に関わる計測事業ですね。具体的には、発掘前の事前の基準点測量や地形測量から実際に掘った後の図面作成までトータルにサポートし、航測図化やレーザー計測なども行っています。フィールドは東北から沖縄まで。加えて最近は海外案件の引合いもあります。実は私も先日までサウジアラビアに出張していたんですよ。
- サウジ出張はどのような案件でしたか
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竹中氏
これはある大学が行う学術調査プロジェクトで、サウジアラビアの遺跡にあるケルン墓(石積み塚)の測量の予備調査に協力しました。広大な砂漠の真ん中に遺跡があって、そこに昔の人のお墓や関連施設が点在しており、今回はそれがどのくらい広がっているのか等の予備調査を行ったんです。また、試験的に行った発掘調査の図面作成もお手伝いしました。本調査を当社が請負うかどうかは分かりませんが、機会があれば、また是非行ってみたいです。
- 遺跡等の測量は工事用とは違いますか
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竹中氏
そうですね、何しろ目的が全く違うんです。まず遺跡等の測量の場合は、遺跡の細かいディテールまで表現しなければなりません。目で見てそれと分る遺跡はもちろん、自然のものと区別がつかない凹凸も重要なものだったりするんです。しかもその形自体が大切なので、図面も普通ならまっすぐ描いて問題ない部分も、形状に忠実に描かなければなりません。
- 遺跡の専門知識と経験が必要ですね
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竹中氏
私たちも最初は全然分からないまま現場に入って苦労しましたが、お客様に教わりながら少しずつ知識・ノウハウを蓄積して、ようやく最近少し分かってきました。でも図面ができたら、今も納品前に必ずお客様に確認していただくんですよ。通常の工事用図面なら、最終段階までほとんどお客様にお見せする機会はありませんが、文化財では、お客様から「ここをこうしてほしい」とか「これを入れてほしい」とかさまざまな要望が入るのです。その意図をきちんと汲んだ図面に仕上げるには、やはり1段階手間がかかりますね。
遠い現場と本社内業部隊を結ぶ
- 福井コンピュータ製品導入の背景は?
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竹中氏
以前は別のCADを使っていましたが、部門設立時にBLUETREND XAを導入しました。前述の通り通常の測量以上に手間がかかる業務なので、速さや正確さ、コスト等が一段と重要です。また、文化財の場合は等高線の図面がメインになるので、これを扱いやすい測量CADが必要でした。そこで知人等に聞いて評判の良かったXAを選びました。導入して10年になりますが、XA自体が着実に進化しているのを実感しますね。特にどんどんコンタが編集しやすくなったのは本当に助かります。
- CIMPHONYの登録もその流れで?
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竹中氏
これには背景があります。福島の現場で非常に急ぎの仕事があったんです。作業した翌日には地図を作り出したいという依頼で…。そうなるとまず福島の現場で計測し、すぐに直近の営業所である新潟支店に行って内業して、また福島へとんぼ返りという繰り返しになってしまいます。これをもっと効率的に動けないか、と考えていた時CIMPHONYの記事を見たんです。
- 「これだ!」と?
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竹中氏
そうなんです。たとえば福島の現場でXYCLONEで取って、即座にそのデータをCIMPHONY経由で新潟支店に送ることができれば、事務所には内業担当のスタッフがいるのでデータをダウンロードして先行処理できます。現場の人間はそのまま現場で作業が続けられますし、すごく効率的ですよね、この福島に限らず。私たちの場合、このようなケースが少なくありません。いったん出張に出てしまうと、内業まで効率よく進めるのはなかなか難しいのです。
- どれくらいの現場が動くのですか
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竹中氏
やはり全国規模で展開しているので、会社全体で見ると、文化財計測部だけで年間百数十件もの現場が動いています。無論その全部というわけではありませんが、とにかく出先はたくさんあるわけですね。だから、それら出先と本社がデータを共有できれば、私たちの作業全体が無駄なくスムーズに流れるようになるのは間違いありません。それができれば、現場の方ももっとこなせる量を増やせるかもしれませんよね。
海外案件でも試してみたいCIMPHONY
- CIMPHONYの導入効果は見えてきましたか
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竹中氏
導入はしたのですが、実は運用状況はまだ確認できていません。私は導入直後に、先ほどご紹介したサウジアラビアへ出張してしまい、戻ってからは別の案件に掛かりきりなんですよ。担当者から「使ってるよ」との声は聞いているんですが、それ以上詳しく話を聞く余裕がなくて…。時間ができたらすぐ確認するつもりです。
- ご自身がお使いになる予定は?
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竹中氏
実はサウジアラビアの現場でも機会があれば使おうと思っていたんです。あちらと日本は6時間の時差があるので、サウジアラビアの現場で作業したものを、その日の仕事終わりにCIMPHONYにあげておけば、サウジ側が寝ている間に、日本側の内業部隊が作業して仕上げられます。それをまたCIMPHONYで送っておけば、サウジ側は翌日すぐ仕事にかかれますよね。
- 良い感じのサイクルで進みそうですね
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竹中氏
でしょう? ぜひ試したかったんですが、ちょうど機材が別の現場へ行ってしまったので、今回はできませんでした。いまは三重の方で発掘調査終了後の現場の図面を作ってるんですが、折りを見てここでも1回試せればと考えています。とにかく面積の広い現場で、そこにやたらとたくさん穴があるのを縮尺1/50で描かなければならず、1日1,500点とか取ってもたいして面積がいかないんですよ。
- すごいボリュームになりますね
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竹中氏
ええ、ですので、XYCLONEとCIMPHONYをうまく活用して作業効率を上げられれば、きっと非常に画期的なことになると思うんです。とにかく現場と内業がデータ共有できるようになれば、原価等もずいぶん変わってくるはずです。どんどんチャレンジすべきですよね!
※2013年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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