3Dレーザースキャナー&TREND-POINTを駆使し高速道路の盛土沈下を動態調査
株式会社初山は測量・設計・建設コンサルタント業務を主務に、和歌山県全域に展開する技術系コンサルティング会社です。同県測量設計業界で最も早く『ISO-9001:2015』を取得するなど品質向上と新技術導入に積極的で、3次元化にもいち早く着手。i-Constructionの稼働より先に3D点群の活用等も進めてきました。そんな同社の先進的取組みについて、同社の石垣氏、岡村氏、下畑氏、橋本氏に伺います。
i-Constructionに先駆け公共工事で3D点群を活用
- 新しい技術を積極的に導入していく風土ですね
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石垣氏
先頃亡くなった前社長が、最新の技術はどんどん導入していこうというお考えで、3Dスキャナーもドローンも、2年以上前から導入して活用を始めていました。県内の同業としては最も早い取組みだったと思いますよ。しかも、単にモノを導入するというだけでなく、同時に全国規模のGIS研究会に参加するなど、これら新技術の実務における活用を積極的に進めているのが特徴で、3D点群についてもi-Constructionが稼働するより早く業務で活用していました。
- 具体的な活用事例としてはどのようなものが?
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岡村氏
たとえば昨年度は近畿自動車道紀勢線の国交省発注業務で使用しました。完成直後の高速道路は盛土部分が沈下する場合があり、それがどの程度の沈下なのか動態調査を行ったんです。発注者の指示は月1回光波で測量するというものでしたが、私たちは3Dレーザースキャナーの導入を提案しました。「当社はこんな最新技術に取組んでいます!」とアピールしたわけですが、実際、非常に効果的でしたね。光波測量では測量点しか沈下度合が分らないのに対し、レーザースキャナーは面の変化を捉えられ、国交省に提出した成果物も大いに喜ばれました。
- 成果物はどのような形で提出を?
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岡村氏
TREND-POINTのビューア版です。発注者は「どのくらい変化しているか」見たいわけで、色分けして変化を見せられるビューアが一番分かりやすい、と考えました。実際、先方には一目瞭然で理解していただき、非常に喜んでくださいました。TREND-POINTを正式に公共の業務で活用したのはこれが初めてでしたが、期待通りの成果でしたね。操作は分かりやすいし処理も速く非常に良かったです。苦労したのはその前段階で……現場で取ってきたデータの点群化に時間がかかって大変でした。TREND-POINT並に軽々と扱えたら助かるんですけどね。
- 3Dレーザースキャナーの使用感はいかがですか
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橋本氏
作業スピードが想像以上にスピードアップし、取れる範囲も広かったです。民間工事の出来高測量ではそこまでの精度は不要なので、やや間隔を空けて取ったりしていますが、動態調査はミリ単位の微妙な誤差等を見るのでスキャニングを細かくするなど工夫し、とても勉強になりました。いろいろ試せたのでノウハウも蓄積できたと思います。
- 作業効率的にはどうでしたか
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下畑氏
3Dスキャナーはその後も多くの現場で使いましたが、やはり現場の数をこなしていくうち効率が上がってきたようです。その都度反省点が生まれ、それを次の現場で改善するというサイクルで進めていますが、それでも通常のやり方に比べたら20パーセント程度はスピードアップできているのではないでしょうか。
i-Constructionを軸に3D点群の活用を幅広く展開
- 今回、福井コンピュータ製品を導入いただいた理由は?
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岡村氏
実は通常の測量ソフトは長年にわたり他社製品を使っていたんです。ところが3Dスキャナーやドローンを導入し3D点群を活用していこうとすると、従来使っていた他社製品はどうもi-Conの流れに乗り遅れているようで、逆に福井コンピュータの取組みが最も進んでおり業界の評判も圧倒的に良いんです。そこで、業界の流れがi-Constructionを軸に進んでいるのは明らかでしたから、福井コンピュータ製品に軸足を移していきたいと考えました。
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石垣氏
特にTREND-POINTについては、他社製品と比べると大差がつくほど傑出したソフトですね。同業各社も軒並み導入しているので外部との連携も容易です。また、公共測量で使う測量CADについても、BLUETREND XAからTREND-ONEに統一していきますし、弊社のもう一つの事業の主柱である電力関係業務ではMercury-Evolutoを使っています。今後はi-Construction関係で3D設計の作成業務があるので、EX-TREND武蔵の導入も検討しています。
- 今後のご計画は?
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石垣氏
これまでは3Dスキャナーの運用が主流でドローンは空撮業務が多かったのですが、今後は測量用途での運用を拡大していきます。3D点群の活用という点では、i-Conはもちろん、文化財や災害被災地などへの応用も考えられますね。まずはドローンのパイロットの育成を進め、資格などもきちんと取得させていく計画です。また、3Dスキャナーについては地場の建設業者への普及が遅れているので、i-Conも含めて当社が中心となって幅広く支援していく計画です。
※2017年夏公開のCONST-MAG Vol.5で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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