建設業の新職域「建設ディレクター」とは?
新たな職域で奮闘する若手女性ディレクターに迫る!
愛媛県松山市で、「インフラの町医者」を掲げる愛亀グループ。その中核を担う株式会社愛亀は、道路舗装工事を中心に、愛媛県から西日本エリアまで事業展開しています。今回、ITとコミュニケーションスキルで現場を支援する「建設ディレクター」という新たな職域を設け、女性や若手の活躍の場を創出するとともに、現場技術者の業務負担を減らす取組みを始められたということで、お話を伺いました。
- 「建設ディレクター」を設置した経緯は?
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西山氏
国土交通省のPRISMの関連で立命館大学等と携わらせていただく機会がありまして、働き方改革や現場の生産性向上といった省人化の話の中で、建設ディレクターというものが今後台頭してくるという話を聞いてからです。
- 取り組みを始めて2年目とのことですが…
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西山氏
正直なところ、去年のスタート時点で上田さんともう一人男性の坪田という人間が第1号でディレクターになったわけなんですけれども、我々はノウハウがあるわけじゃないので、どういった教育で進めていくとか、そういったところがネックになって。そういった中でディレクター協会さんの方のご支援をいただき、教育支援プログラムの「TEAM SWITCH」を導入。OJTみたいな形で実務をしながら、主に書類業務を身につけてもらっています。
- この先の進め方として、どのようにお考えですか?
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西山氏
一番の目的は、現場技術者の時間外の削減であったりそういった負担を軽減させるというのが目的なので、全体的なDXを推し進めていこうじゃないかと。ASPであったり、遠隔臨場、電子小黒板、電子マニフェストなどなど。現場ではもちろんICT施工も使うんですけれども、そこだけにこだわっているとある程度限界があるので、全体を通してDXを進めていこうと。
現在「建設ディレクター」として、若手女性3名が実務に携わっています。デジタル業務のバックオフィスとして、どのようなお仕事をされているのかお伺いしました。
- 建設ディレクターとしての現在の業務内容を教えてください。
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上田氏
今は主に書類業務をメインとしてやっていまして、電子マニフェストや、工事写真技術者の方が撮ってこられた写真を「EX-TREND武蔵」で整理などになります。「TEAM SWITCH」っていうディレクター協会さんの支援プログラムで、舗装修繕工事の電子マニフェストを私と岡さんの二人で行いました。下久保さんは別の工事で技術者の方と一緒に行っています。
- 電子マニフェストで飛躍的な省力化を実現したそうですね。
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岡氏
排出事業者、運搬業者、処分業者の手元にそれぞれ同じ情報が残るような伝票を作って、それを回収して「JW NET」に情報を登録をします。登録をしていくと、運搬、処分、最終という欄にチェックが入り、核廃棄物が現在どういった状況かが一元的にわかります。現場が終わった後に、次の年度の初めに廃棄物の処理状況を行政機関に報告する必要がありましたが、行政報告は「JW NET」の方が直接してくれるので、報告のための我々の手間がゼロになりました。
- 電子化前に比べ、どの程度の省力化になりましたか?
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岡・上田・下久保氏
全然違います!自分たちが残業をして集計を行ってたのが、それがゼロになるので。これまで大きい現場だと、めくるだけで腱鞘炎になるくらいの分厚い紙の資料をまとめて報告していました。昨年度を例にすると大体この報告に170時間ぐらい使っていたのが、この電子マニフェストを導入したことで、この分はゼロになりました(笑)!
- 現場写真の整理はいかがですか?
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上田氏
「EX-TREND武蔵」の写真管理で整理しています。この現場は3地区に分かれているんですが、技術者の方も始めたばかりなので、写真を撮って「ここにとりあえず入れとけ!」って同じフォルダに写真が入ってくるため、それを自分たちが工種や地区ごとに分ける作業をしています。
- 施工現場の3次元活用の状況は?
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下久保氏
まだ始めたばかりで、先日初めて県工事の現場で、技術者さんと一緒に測量をしたりした中で出たデータを使って3次元データを作りました。まだ重機で使うまでには至りませんが、現地で測量の時に使ってもらっています。CADを初めて使ったので、部長に教えてもらいながら作りました。
「建設ディレクター」とは、一般社団法人建設ディレクター協会が、建設業における人材不足や長時間労働といった課題を解決するために、2017年よりスタートしたデジタル人材育成事業です。2024年10月21日には、全国の建設ディレクターが集結する「KDN 京都 2024」が開催され、株式会社愛亀では、来場者500名の前で事例発表を行いました。
- 「KDN KYOTO 2024」に参加された感想は?
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上田氏
本当に自信に繋がりましたね。他社さんも他社さんなりで悩みがあったり、新しい職域だったりするので、そういうのを一緒に乗り越えていきましょう!っていう一体感もあり。
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岡氏
しかも実際に建設業界に過去居ましたっていう人の方が圧倒的に少ないイメージでした。前職はホテル業でしたとか、福祉の仕事をしてました、という人でも仕事に取り組めるっていうのが建設ディレクターの魅力かなと。
- この先の目標をお聞かせください。
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上田氏
私も試行錯誤しながら技術者の人と日々やり取りしています。畑違いのところから来ているので、やっぱり男性の方が多い会社なので、怖いなっていうイメージがあったんですけど、でも皆さん本当に優しくしてくれるいい会社なので、そういう中で「新しい職域」っていうのを自分の中でもさらに確立させたいです。
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岡氏
まだ入って1年経っていないので、これからが本番だなと思っています。私は前職が建設業で現場事務所の事務を経験したりしてたんですけど、そこでも技術者さんの長時間労働は結構見てたので自分がどんどん書類業務とかできることを増やしていって、技術者の方が負担や残業時間が減るようにしたいです。
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下久保氏
現場監督さんに付いて学んでいる段階なので、早く業務を覚えて少しでも仕事を減らしてあげられるように、これからどんどん勉強していこうと思っています。
- 「建設ディレクター」の活躍が期待できそうですね。
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西山氏
もちろん、まだまだディレクターも増やしていきたいので採用活動も行ってますし、新しいものであったり、新しい取り組みを積極的にどんどんやっているっていうのが弊社のスタイルかなと思いますね。
(取材:2024年11月)
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