点群活用

ジオテクニカル株式会社

点群活用3D活用事例業務効率化

MMS×TLS×UAVによる3D計測にクラウド運用
3Dモデリングまで駆使して進める新・測量革命

【User’s Voice/対談】福井コンピュータ×ジオテクニカル株式会社様(大阪府)

当社は地籍調査の仕事が事業の主柱なんです
その「柱」を増やしたくて、3次元を導入しました

大阪府松原市に本社を置くジオテクニカル株式会社は、関西圏を主なフィールドとする測量会社である。主業である測量業や地籍調査に加え、近年はMMSやUAV、TLS等々を導入し最新の3D測量手法に挑戦。多彩な福井コンピュータ製品も駆使しながら、空間情報の取得と3Dデータの活用に注力している。そんな同社の取り組みを牽引する、代表取締役の小松一也氏とICTソリューション室リーダーの岡田陽介氏に、実際の取り組みとその狙いについて伺った。

MMS+TLSの3次元測量で道路台帳を更新

LeicaのMMS Pegasus:Two

最近、MMSを実務に用いたそうですね?

岡田

ええ、道路台帳の更新業務です。LeicaのMMS Pegasus:Twoをクルマに搭載し、全長約6kmの道を40km/hほどのスピードで走らせながら点群を取得しました。その点群データをTREND-POINTで処理した上で、まずTREND-ONEで平面図を描き、さらに基図や排水系統図、横断図等、関連図面を作りました。MMSでの計測は1日で終わりましたが、取りきれない部分もあったのでTLSで補測を行い、計2日で計測を完了しました。

プラス1日の補測というのは?

岡田

道路の外側の低くなった箇所など死角となる部分は、点群が無い真っ黒なゾーンとして残ります。今回はこうした箇所も道路範囲に指定されたため点群化が必要でした。そこでTLSで補測してこの部分の点群を取り、平面図や横断図を描いていったわけです。仮に同じ現場を通常通り実測したとしたら、現場だけで1カ月はかかったでしょうね。MMSなら基準点は不要ですが、実測ではまず基準点を設ける所から始めることになるので。

点群からTREND-ONEで図化

TREND-POINTで総延長6kmにおよぶ道路の膨大な点群データを扱った感想は?

岡田

パソコンのスペックにもよりますが、今こちらで使っているものに関しては全くストレスは感じませんでした。ただ、TREND-ONEによる図化には、やはり平面図を描くためのノウハウが必要で、それなりの測量経験がないと取り扱いは難しいかなと思います。

小松

でも、TLSを使った計測だけなら、だいぶ敷居が低くなったんじゃないかな。従来の測量って、最初に器械を据えるところから始まり、トランシットを覘いて……という具合で修業期間がある程度必要ですが、TLSの点群計測だったら三脚を水平にする必要もなく、TLSをポーンと載せただけでできる。ただ、点群から図化できるようになるには、実測で現場二つくらいは経験が必要でしょうね。

延長6kmの点群をCIMPHONY Plus上で共有

CIMPHONY Plusのクラウドサービスを利用しリモートで協議されたとか?

岡田

ええ。たとえば、こちらで考えた道路線形を点群上に描いた3DモデルをCIMPHONY Plusにアップしておき、発注者さんにURLを送って「ちょっと確認してください」とお願いしたんです。何処に中心線が走って……という形をご覧いただいてOKをもらいました。重要な打合せも対面でなくWeb上で行えるわけです。

小松

これだけ重たいデータもここへ入れてしまえば、先方も普通のパソコンで動かしながら見られるのだから便利ですよね。以前なら、いちいち図面を上からスクショを撮り何枚も切り取って送らなければならなかったし、受け取る発注者側もそれを1枚ずつ読み解いていたわけで、きっと大変だったはずです。

複合的に測器を活用し多彩な3D計測に挑戦

道の駅をUAV写真とULSで

3D計測は他の現場でもご活用ですか?

岡田

例えばこういった使い方もしました。ある道の駅なんですが、発注者から「私たちの持っている図面が現況と合っているか、確認してほしい」と依頼されました。そこで「UAVを飛ばして確認しましょう」とこちらから提案し、承認を得て取り組んだのです。UAVを飛ばして写真を撮り、点群を起して図面を作成。この図面を元に発注者が持っている図面が合っているかどうかを確認しました。

小松

これは無償での取り組みでしたが、写真測量だけでなくレーザースキャナー搭載のUAVも一応飛ばしてみました。まあ、精度は写真の方が良いのですが、スキャナーだと飛ばしてすぐに点群データが見られるので、災害復旧等では充分に活用できるかなと思っています。

TLS2台併用で、現況を緻密に再現

その他にも活用例はありますか?

小松

先日、役所が経営する温泉施設の建替えで、3次元計測を行いました。これも元々は3次元測量の予定ではありませんでしたが、「どうですか?」と提案したら「ぜひやってくれ」ということで3次元でやらせてもらいました。先方にしたら初めてだし、どんなものか判らなかったと思いますが、出来上がった3Dモデルを見て「これだったら普通の測量会社にはなかなか難しいな」と言ってました。

岡田

この現場の場合は、UAVとTLSを2機種併用してデータを作っていったのが特徴ですね。

小松

TLS2機種というのは、TOPCON社製とLeica社製の小型のもので、基準点を少なくしたぶん、骨格にあたる部分をTOPCON社製のほうでしっかり取っておきたかったからです。多少時間がかかっても、そこだけは絶対に間違いない!と安心できるようにしたいと思ったのです。

岡田

そうやって作った骨格内を、機動性の高いLeica社製の小型スキャナーを回していった形ですね。そして、温泉施設の建物や路線、森まで含めて可視化し、それを見てもらいながら打合せを進めました。可視化することで全てが分かりやすくなり、不明箇所の確認等もいちいち現地へ行かなくて済むわけで。昔のように1カ所ごとに写真を撮り「ここはどうしますか?」なんて確認する必要もありません。

実測が困難な現場で初めてUAVを使用

最初にUAVを用いた公共測量の現場は?

小松

4年くらい前にやった、港湾にある砂利堆積場の現場ですね。その護岸部分がひび割れたか何かしたのでやりかえたいということで現況測量することになりました。元々は普通の測量でやる予定でしたが、堆積場だけに砂利を運ぶダンプがバンバン通る場所で……スキャナーも検討したんですが、何しろホコリが凄いというので「UAVでやらせてくれ」と無理やりお願いしたんです。もちろん価格は2次元の場合の見積りのままです(笑)

作業は順調に?

小松

関空からも近い場所だったんですがギリギリ行けたので。ただ、UAVは買ったばかりで初飛行だったので、測器販売店の社長に助けてもらい、どうしても見えない所だけ、ちょっとTLSを回したりしました。

業務の域を超え、3Dモデルで創造&提案

2Dの設計図からTREND-COREでモデリング

測量の業務領域を超えつつありますね?

小松

そうかもしれません。そう言えば、ある駅前ロータリーの改修工事で、ウチが現況を測ったんですけど、設計を担当するコンサルタントから2次元の図面を入手し、試しにTRENDCOREで3次元モデルを作ってみたんですよね。で、「これを使って役所に説明したいんじゃない?」って……モデルは設計会社がほしいと言うので差し上げました。いまはたぶん、このモデル通りの公園ができあがっていますよ。

コンサル業の上を行きますね!

小松

そうそう。本業から逸脱してます(笑)。別の地籍調査の業務では、そこにできる予定の公園プランまで作りましたね。防災公園なのであまりモノは造れないと聞いたので、それこそ設計データさえあればいくらでも3Dモデルはいけるかなと。TREND-COREならいくらでも遊べますよ。

社長自らが3Dモデリング

それにしても測量会社が3Dモデルまで…

小松

どうしてもやりたかったんですよ、3次元が。まあ、最初はウチもハードについてはスキャナーくらいしか買えませんでしたが……だからこそ「どうやって3次元データを売り込むか?」しか考えてなかったんですよね。で、3次元データの最終形って3Dモデルじゃないですか。まあ、いまは点群だけでも充分3Dの成果になってきていますが、とにかくこの3次元モデルを活かす形で、どんどん新しい方向へ、新しい方向へと活用フィールドが広がりつつある。──そう感じています。

(取材:2022年8月)

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小松 一也代表取締役

岡田 陽介ICT ソリューション室
リーダー

ジオテクニカル株式会社

設立:1997年10月
代表者:代表取締役 小松 一也
本社:大阪府松原市
事業内容:測量業、地籍調査、空間情報取得

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