「鳥人」社長が蓄積した空撮ノウハウを基に独自の空撮事業とi-Construction対応を推進
ミヤギエンジニアリングは、公共・民間の幅広い測量設計事業で30年余の歴史を持つ測量会社です。特に20年以上前から取組んできた空中写真撮影や、これを生かしたオルソ画像や3D点群データ活用にも豊富な実績を持っています。この独自の空撮事業の原動力は、社長自身が飛ばすパワード・パラグライダー(PPG)。ドローンとの併用で威力をましつつあるこのユニークな取組みについて、佐々木克夫社長と佐々木直取締役に伺います。
パワード・パラグライダーで多様な空撮ニーズに対応
- パワード・パラグライダーとは?
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佐々木克夫氏
パラグライダーにエンジンを付けて飛ぶのが、パワードパラグライダー(PPG)で、日本では25年前から愛好家を中心に普及しました。私は「これで写真を撮ったら面白いな」という興味から入門し、「空中写真をオルソ画像にして縮尺を持たせられないか」と試行錯誤しました。やがてBLUETRENDでラスターデータを貼り付けられるようになり、PPGで撮った空中写真を路線図や平面図に載せて加工したら、発注者にすごく好評で、県内でもずいぶん話題になりました。
- そこから航空写真関連が得意分野の1つに?
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佐々木克夫氏
ええ。当時はこんな風にローコストで手軽に空撮を発注できる所は他になく、簡単に利用できませんでしたからね。おかげで、私は事業説明写真や竣工写真、災害現況写真や遺跡、文化財調査写真等いろいろな空撮を行い、オルソ画像や3DPDF、点群データなど、お客様の要望に応じて加工して好評をいただいています。
- そんな御社がドローンを導入されたのは?
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佐々木 直氏
昨年です。手軽にオルソ画像を作ったり点群化できるソフトを探していたんですが、昨年見つけて導入し、続いて「だったらドローンも飛ばしてみよう」となりました。そして、ドローンを試し始めるとすぐTREND-POINTを知り、即座に導入したんです。もちろん全てドローンに移管したわけではなく、現地の状況と内容に合わせて使い分ける形ですね。対象が広くない場合やi-Construction現場など精度が必要な場合はドローンを飛ばし、より広い範囲を1枚に収める時は、社長が「私が飛びましょう」と提案します(笑)。こちらもけっこうニーズがあるんですよ。
点群の精度がi-Construction対応のカギ
- ドローンを用いた測量についてはどう感じますか?
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佐々木 直氏
とりあえずドローンで写真を撮って点群を作っておけば、後で不足部分が発覚しても補完できるので気持がすごく楽ですね。それに土量計算など従来は2~3人必要だった現場も、ほぼ1人で問題なくできるようになりました。実はいまi-Construction現場を進めているんですが、ここも通常3~4人は必要な大規模現場なのに、取りあえず2人で回せますし、災害調査など精度よりもスピードを求められる業務では、従来の1.5倍~2倍くらいのペースで進められる。効率化の効果を随所で感じていますね。
- 空撮と点群化がルーティンに?
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佐々木 直氏
ええ。私が現場へ入る場合は、とりあえず写真を撮り、点群を作成するようにしています。安心感や効率化以外にも役立つ部分は多々あります。たとえば土工の現場は施工前後に空撮を求められることが多いんですが、これを点群化して見せるだけで反応が全く違ってきます。以前は空撮写真を見せても「あそこが見たかったのに」「違うアングルで撮って欲しかった」とダメ出しされることもありましたが、3Dデータなら見たい人が見たい箇所を見たいアングルで見られます。実際、工事業者さんだけでなく役所の方へもアピールを兼ねてお見せするんですが、総じて反応はとても良く、「そんなことができるんだ!」と驚かれることもしばしばです。
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佐々木克夫氏
点群化するかどうかはともかく、地域を空撮した写真は古いものも財産なんですよ。マメに撮影しておけば、町の発展や地形の変化を形として残せるわけで、企業や地域でこれをきちんと記録していけば、100~200年後もしっかりデータとして活用できます。さらに、それらをビューア等で手軽に見られるようにできれば、さらに大きな付加価値が生まれるでしょう。建設業だけでなく観光分野等でも活用できるんじゃないかな。可能性はいくらでも広がるし、私もまだまだ飛びますよ(笑)
- 今後の計画と課題は?
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佐々木 直氏
測量業務と空撮業務を事業の2本柱としていくことに変わりはありませんが、今後はやはりi-Construction現場が1つの軸になると思うので、点群の精度の出し方をさらに研究していきたいですね。i-Construction対応においてはこれが1番のカギになるでしょう。また、個人的には3Dプリンターにも興味があります。これで3D点群データを出力し、現場の3Dモデルとして提供したら喜んでもらえるのではないでしょうか。機会があれば、ぜひチャレンジしてみたいですね。
※2017年夏公開のCONST-MAG Vol.5で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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