業界に先駆けて3D点群データの活用を推進
独自の解析業務やCG映像制作など新事業を開拓
福井市で創業以来、80年近い歴史を持つ株式会社サンワコンは、地域と共に歩んできた地域密着型の総合コンサルタントです。同社は新技術の導入・活用に積極的な企業風土で知られ、先進的な技術と実績でこの地域の業界を牽引。3D点群データ利用の取組みもいち早く推進し、すでに幅広い分野で具体的な成果を上げています。同社でこれらの取組みを担っている空間情報部の内田氏と上田氏にお話を伺います。
「見せる」から「幅広い活用」の時代へ
- 空間情報部についてご紹介ください
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内田氏
空間情報部は、その名の通り空間情報に関わるさまざまな最新技術を駆使して幅広いフィールドに展開し、当社各部門の業務を多角的にサポートしています。近年は特に3Dとこれに関連する技術分野に注力しており、たとえばドローンを用いた空中写真の写真撮影や写真測量、橋梁点検から、3Dレーザースキャナーを用いた埋蔵文化財等の計測。さらには3D GIS等の開発も行っています。
- 3D点群活用の取組みはいつ頃からですか?
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内田氏
2006年に福井城跡の遺跡の調査測量で、初めて仕様書に「地形モデルをオルソ画像に」と記載され、この時から取組みが始まりました。当時は「オルソ画像」という言葉さえ知らず、かなり苦労しました。たとえば写真一枚撮るにもいちいち露出計で露出を測るマニュアル撮影するしかなく、手間もかかりましたね。これは空中撮影も同様で、当社はドローンどころかラジコンヘリの時代から飛ばしていましたが、当時はこの操作も全てマニュアル。常に機体を見てプロポを操作し続けないとすぐ墜落!でしたから、今はすごく楽になりましたね。
- 実際の3D点群データ活用事例をご紹介ください
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上田氏
i-Construction現場ではありませんが、一般的な測量関係では公園や山岳地帯での縦横断測量に使いました。現地で基準点測量を行い、標定点を設置してドローンで航空写真を撮影。点群データを作成しTREND-POINTで縦横断SIMAを作ってBLUETREND XAで縦横断図面を作成しました。特別なことは行っていませんが、それでも従来3日程度かかっていた2500m2規模の現場の現地作業を半日程度で完了しました。
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内田氏
今までは点群で取ったデータを見せれば、それだけで「すごい!」と喜ばれたものですが、もはやそれだけでは勿体ない。見てもらうだけでなく幅広く活用すべきでしょう。当社では、点群データから動画を作成したりCGを起すなど、ビジュアライゼーション方面への展開を進めており、他方では点群を利用してさまざまな地形の状況を把握する、解析分野での活用にも取組んでいます。
3D点群データ活用のタネはまだまだある
- 新たな活用について具体的にご紹介ください
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内田氏
文化財関連の事例を一つご紹介しましょう。「一乗谷朝倉氏遺跡」は戦国大名の越前朝倉氏が築いた戦国城下町の遺跡で、278haもの範囲が特別史跡に指定保存されています。当社ではレーザー計測による遺跡の点群データを用いた映像を作成しました。この映像は資料館で放映されていますが、点群ベースの映像なので大型モニタで見ると眼がチカチカし、寄りの絵では抜けてしまう問題がありました。そこで現在、この点群データを元にCG映像を作り、遺跡の「現在」と「過去」を比較するCGムービーの制作を進めています。
- 解析分野への展開もお考えとか?
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上田氏
某自治体からある大型施設の屋根……人間が容易に上がれないような屋根……の状態を調べたいと依頼があり、ドローンを飛ばして写真を撮りオルソ画像に加工してTREND-POINTで解析しました。この時TREND-POINTをいろいろ工夫して使い、肉眼では分らない屋根の傾きやひび割れ、凹凸などを発見することができたんです。当初、先方は高所から望遠鏡で見て調べる程度しか考えてなかったので、「こんな風になってたのか!」と大いに驚いておられました。
- 今後の目標は?
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上田氏
点群データは一度取ってしまえば後はどうにでも活用でき、それ自体大きな財産です。だから、いまはできるだけ質の高い点群データをたくさん取りたいと考えています。もちろん写真にもレーザーにもそれぞれ長所短所があり、物件ごとに向き不向きがありますから、できるだけ経験を積んでノウハウを蓄積するということですね。とにかく後でどう加工したいと思っても柔軟に対応できる、質の高いデータを作って行きたいですね。
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内田氏
屋根の調査解析へのニーズは他にも多々ありそうなので、CG分野と共に新事業として開拓していきます。今はいろいろな形の屋根にドローンを飛ばして、飛行の仕方や撮影方法、データ解析法などの研究を進めています。CG映像の方はまだ提案段階ですが、こういった他社にはマネできないことをどんどんやっていきたいですね。もちろん他にも可能性はありますが、どこにあるかはやってみなければ分かりません。だからどこへでも行ってドローンを飛ばし撮影して、TREND-POINTで解析することを積み重ねていこうと考えています。
※2017年夏公開のCONST-MAG Vol.5で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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