i-Construction

株式会社 大亜測量設計

i-Construction点群活用

他に例のない大規模史跡「清水磨崖仏」を
3Dレーザースキャナーとドローンで3次元計測

南九州市岩屋公園の「清水磨崖仏」は、高20m×幅400mの岩壁に刻まれた約200基の磨崖仏群。他に例のない平安時代起源の大規模史跡ながら、近年は風化により表面の溶融や剥離が進み、一部では倒壊の恐れも生まれています。南九州市はこの史跡保存のため3Dデータによる記録を決定。地元建設コンサルタントの(株)大亜測量設計が3Dレーザースキャナーとドローンによる3次元計測を実施しました。同取組みについて、(株)大亜測量設計の西川(さいかわ)氏、大迫氏、門田氏に伺います。

初めての3D計測は大規模な磨崖仏群

この取組みが始まったのは?

西川

2012年です。まだi-Constructionという言葉もなく、当社も3次元測量は初めてでしたが、いずれはこの世界もこうした3Dデータの活用が主流になるという思いがあり、「やってみよう!」となりました。もともと当社には、業務に関わる新技術を積極的に導入していこう、という風土がありますからね。実際、3Dレーザースキャナー等も鹿児島で最も早く導入した一社なんです。

かなり広い現場ですね

西川

そのため数ブロックに分けて作業をしましたが、夏は木が生い茂って3Dスキャンの障害物となるので作業できず、葉が散る11月頃を見計らい、磨崖仏と観測点の間の樹木の枝葉を落としてから計測しました。そして2016年にドローンを購入して空から全体を撮り、TREND-POINTで3Dスキャンのデータと張り合わせ全景の点群処理を行いました。

初めての3D計測は・・・

ドローンのパイロットは社内で育成を?

西川

ノウハウを蓄積したかったので、あくまで社内で「パイロットに向いていそうな人間」を探しました。とはいえ、いきなり実務に投入するのは怖かったので、営業時間外のゴルフ場を借り、そこを練習場代わりに飛行訓練を重ねました。そのせいか、担当の門田は鹿児島でも有数のパイロットだと思います。もちろん清水磨崖仏の空撮も彼が行いました。

門田さんはドローンのご経験は?

門田

初めてでしたが、メカ好きなので抵抗はありませんでした。訓練は安価なおもちゃの練習機を繰返し飛ばし、動きに慣れました。それでも最初はちょっと落としたりしました。一方、実際のフライトは自動運転ですが、操縦者は常に機体が目視できる位置にいなければなりません。清水磨崖仏の場合は1回で全部飛ばしきりたかったので、ラップを考えて飛行計画を立てるのが難しかったですね。

直感的に使えるTREND-POINTを駆使

TREND-POINTによる作業

点群化と点群処理等の作業について ご紹介ください

大迫

解析ソフトで点群化し、TREND-POINTでゴミ取りなどの点群処理を行い3Dモデルと断面図を作りました。また、三次元測量の成果を一般公開する企画展では、3Dモデルを使った動画も作成しました。当社の女性社員がナレーションを行うなど完全な社内制作です。点群化~点群処理の作業については、TREND-POINTがとても使いやすく…これは福井コンピュータ製品に共通しますが…直感的に操作できました。

3D計測案件を終えたご感想は?

西川

ソフトの使い勝手など問題は残るものの、総体的にかなりの効率化が期待できそうです。ただし、公共測量で使うには、やはり精度が大きな課題となります。ドローンであれ3Dレーザースキャナーであれ、精度をどう担保するのか。裏返せば、それさえクリアされれば効率が良いのは確実です。国の施策もそちらへ向っているわけだし、やはり少しでも早くこの技術とノウハウを蓄積し、いつでも最新のサービスを提供できる体制を整える必要がありますね。

現状と今後の取組みについてご紹介ください

西川

すでにi-Construction現場も2つ進めているほか、文化財関連の3D計測も積極的に提案しています。点群利用は災害現場での活用なども考えられますね。法規制との兼ね合いは有りますが、災害直後の現場にドローンを飛ばし、点群処理すれば復旧計画にいち早く活かせるでしょう。被災直後の現場作業は危険を伴いますから、リスク管理としても有効です。とにかくレーザースキャナーとドローンを現場に合わせて使い分けながら、いろんな現場で積極的に活用していきます。

大迫

磨崖仏の後の別案件でTREND-POINTにBLUETREND XAを連携させて平面図を起したりもしていますが、今後はこの点群を用いた設計に挑戦します。TREND-ONEの登場により、TREND-POINTとの連携はさらに強化されると聞いたので、これもできるだけ早く試したいですね。

※2017年夏公開のCONST-MAG Vol.5で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

本例での導入製品(製品ページ)はこちら

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西川晃央代表取締役専務

大迫真司技術二課長

門田昌大技術一課

株式会社 大亜測量設計

代表者
西川 肇
設立
昭和53年1月
資本金
1000万円
所在地
鹿児島市
事業内容
測量、計画・設計、調査・研究、情報・開発、補償ほか

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