3Dスキャナー、MMS、ドローンを適材適所でフル活用
日本全国を駆けめぐる3D計測のプロ集団
長野県飯田市の小林コンサルタントは、今年設立17期目を迎えたばかりの若い測量会社。公共案件のみならず、建設系を中心とする民間分野に力を入れているのが特徴です。特に3D計測ではトップクラスの実績を持ち、依頼を受けてスタッフは全国を飛び回ります。まさに3D計測のプロ集団である彼らの技術とノウハウを支えているのが、地上型レーザースキャナーにMMS(車載型スキャナー)、UAV(ドローン)といった最新機器とFCソリューション群。今回はその活用方法について、社長の小林氏と3D計測チーム主任の田嶋氏に伺います。
3D化の流れを先取り業務フィールドを拡大
- 3D計測系に注力しているそうですが?
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小林氏
地方自治体などの業務も受けていますが、6~7割はゼネコンなど建設系を中心とする民間発注業務です。3D計測に注力し始めたのは、2008年に地上型の3Dレーザースキャナーを導入したのがきっかけです。
- 非常に早いタイミングの導入ですね
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小林氏
当社が入れたのがそのメーカーの1号機と聞いています。当時、公共測量で3Dスキャナーを使う仕事はありませんでしたが、建設会社の舗装工事で3D計測へのニーズを感じ、導入しました。それまで舗装工事関係はやってなかったんですが、お客さんが「ぜひ」と…。直後に国内メーカーの3Dスキャナーが出たので飛びついたんですよ。納入されたのは半年後でしたが、すぐ切削オーバーレイ等の現場で使い始めました。
- 3D計測が業務フィールドを広げた?
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小林氏
安いものではないし、買った以上はどんどん使わなければなりません。とにかく使ってもらおうと、いろんな建設会社に「3Dスキャナーでこんなにいろいろに使える」と提案。コストもできるだけ抑え、試してもらえるようずっと取組んできました。もちろんソフトも常に最新のものを揃えています。BLUETREND XA にTREND-POINT、TREND-CORE、X-FIELDとEX-TREND武蔵とFCソリューションで統一し、機器は地上型3Dレーザースキャナーが4台にMMS(車載型スキャナー)が3台。ドローンも4~5年前から使い始め、現在は8機です。流行中のドローンも、私たちには使い慣れた技術なんです。
- 3D計測普及の取組みの効果は?
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小林氏
ええ、すっかり地域に浸透しています。実際、地場の建設会社から普通に「3Dスキャナーで」と依頼されるようになりました。
さらに最近は工事系で3次元データを作り幅広く活用しようという取組みが広がり、当社へのニーズも全国的に拡大しています。東北や九州、東京など全国から問合せがありますね。また文化財系の案件でも3D計測が求められますし、公共関連では国交省の道路性状調査でMMSを使うなどしました。ドローンによる空撮だけの依頼も増えましたし、文字通り業務のフィールドが広がっている実感があります。
FCソリューションの活用がカギとなる
- 強みは3D計測の技術でしょうか?
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小林氏
そうですね、豊富に取りそろえた機器・システムを上手く使い、現場ごとに内容に合わせて最適な手法で対応できる点でしょうか。実際、計測だけでも地上型、MMS、ドローンと3種の対応が可能なので、たとえば広範囲で上空視界が良い所はMMSを使い、高低差がある所はドローンを飛ばし、最後にどうしても取りきれない所で地上型を、という使い分けが可能です。そうやって最適な組合せで使うことで、効率よくコストも最小に抑えて計測できます。そのためには、FCソリューションによる準備や後処理も非常に重要です。
- FCソリューションのラインアップと活用法をご紹介ください
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小林氏
まずBLUETREND XAは技術者全員が使う測量ソフトの基本です。測量計算ソフトもいろいろありますが、XAはCADが優秀で非常に使いやすいですね。パーツ類も豊富で、測量のプロが使う環境が整っており、当社では設立以来使い続けています。このXAと連携して3D計測系で重要な役割を果たすのがTREND-POINT。これは、一番使っている田嶋君に紹介してもらいましょう。
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田嶋氏
3Dスキャナー等で取った膨大な点群を処理してくれるソフトなんですが、ノイズのフィルタリングに優れ、点群の読込みが非常に速いのが特徴です。自動できれいに消せるので効率的に進められるんです。また、作ったデータをビューアでお客様に直接見せられるのも大きなポイント。従来は紙に出力して見せるなどしていましたが、TREND-POINTなら作ったモノをそのままお見せできます。断面図もすぐ見せられるし、土量計算したデータを渡せば先方もその結果が使えます。情報共有という点で非常に有効ですね。
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小林氏
それにいつも使っているXAへの連携が可能となって、さらに活用フィールドが広がりました。点群データを取り込んでトレースする等さらに便利に使えます。
- TREND-POINTを使えるのは田嶋さんだけですか?
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田嶋氏
いえ、細かなフィルタリングまでやるにはちょっとした経験が必要かも知れませんが、取ってきたデータを取り込んで断面を作るだけなら、みんなやっていますよ。基本的な操作は非常に簡単なんです。
- TREND-CORE については?
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小林氏
TREND-COREとEX-TREND武蔵は建設会社の多くがお使いなので、その現場で業務支援に使うケースが多いですね。TREND-COREは、データ作成支援などCIM業務のサポートに欠かせないし、EX-TREND武蔵は出来形管理や完成図、電子納品等に使います。両者を駆使して、現場のデジタル作業を全部サポートしていく感じで…これも近年の新しい業務フィールドの広がりです。
大切なのは少しでも早く始めること
- 今後のご計画は?
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小林氏
3D計測スキャナーまで揃えたんですから、3Dプリンタを導入したいですね。3次元で取った成果物をさまざまに加工したデータでお渡しするのはもちろん、地形など3Dプリントした造形物でお渡しできたら、打合せや干渉チェック、安全教育等にも活用いただけるのではないでしょうか。実はこれもお客様から依頼されたんです。今回はまだ3Dプリンタがないので機械を借りましたが、将来は3Dプリンタの導入も視野に入れています。
- 導入検討中のご同業へのアドバイスをお願いします
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小林氏
近い将来、どの発注者も確実に3D化を求めてくるでしょう。つまり、遅かれ早かれ取組まざるを得ない課題なわけで。できるだけ早く着手し、慣れていった方が良いでしょう。3Dスキャナーはポンと買えるものではありませんが、スキャナーが無くても3Dデータは扱えます。スキャニングは外注に任せ、ソフトだけ入れて取組むのも1つの方法です。3D系ならとりあえずTREND-CORE、また測量会社の多くが使うX Aとの連携からTREND-POINTをお勧めしたいです。
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田嶋氏
やはりCIMへ向かう流れは大きいと思いますし、まずは取っつきやすい所から始めると良いですね。実は今度、仕事でご一緒する建設会社さんにも「元から3Dデータを作るのは大変なので、最初の所を作ってくれ」と言われています。私たち専門家が作ったものを「加工」する所から始められるのも良いんじゃないでしょうか。
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小林氏
そう、まずはやってみること。これが一番大切ですね。
※2016年冬発行のCONST-MAG Vol.3で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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