TS & Landcomで挑戦する初めての「情報化施工」
ICTを活用し高効率で高精度な施工を行う「情報化施工」。長年変化のなかった土木工事の現場を、この情報化施工が変えようとしています。総合評価における技術提案のため、初めて情報化施工を導入した、広島県庄原市の大歳組の現場をお訪ねしました。
総合評価落札のための技術提案として
- こちらはどのような現場ですか?
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戸田氏
尾道市と松江市を結ぶ道路の改良工事の一つで、山の中の切土切削工事です。全長は約500mですが、当初切土高が10段(1段7m)で合計70mとなり、本線からかなり高いのが特徴です。実際は9段だったので63mですが、それでも尾道松江線の現場としては特に切土高が大きかったと思います。掘削土量も総計10万7,000m3になりました。
- この現場に情報化施工を導入したのは?
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森岡氏
ご承知の通り、総合評価落札方式でポイントとなる技術評点を向上させるには、技術提案の内容がとても重要になります。そして、本工事では、この技術提案のテーマが「切土の出来形管理について」だったんです。そこでインターネットなどでいろいろ調べ、研究して、トータルステーション(TS)とEX-TREND 武蔵 Landcomを使った出来形管理を提案しました。……当社としては初挑戦でしたが、福井コンピュータのホームページで「情報化施工」の紹介を見て、これなら私たちにもできるし、現場の効率化にも繋がると思ったんです。
- 具体的にはどういう内容ですか?
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森岡氏
基本設計データや出来形計測データ等の施工管理データを搭載したLandcom(携帯情報端末)とノンプリズムのTSを使って、切土の出来形管理を行おうという提案です。従来の巻尺やレベルを使って行っていた幅員/高さだけの管理に比べると、3D測量でより速く正確な出来形計測を簡単に行うことができます。もっとも実際の経験があったわけではないので、当社の職員と検討しながら提案書を作成しました。
現場の声を取入れながらさらなる進化を
- 実際の現場への導入はいかがでしたか?
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森岡氏
前からあったTSはともかく、Land comと連携させて使うのは初めてだったので、正直いって不安もありました。時間もなく、ぶっつけ本番での導入になってしまいましたが、実際の導入時は福井コンピュータのスタッフが現場でもつきっきりでサポートしてくれましたし、Landcomの操作自体、ペンタッチで分かりやすくて使いやすく、考えていた以上にスムーズに導入できたと思いますね。
- 現状はいかがですか?
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森岡氏
この現場が始まって10カ月近くになりますが、さすがに計測作業は、非常に簡単かつスピーディに行えています。ただ、実際に使っていくなかで、それなりに課題や要望も生まれてきました。システ厶自体新しく、発展途上のものですし、現場の意見を取り入れながらより使いやすいものに進化していってほしいですね。そうすれば、確実に大きな威力を発揮するでしょう。私たちもいろいろな現場で試しながら、積極的に要望を出していきたいと思っています。
- 今後の取組みについてお聞かせ下さい
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戸田氏
こうした他社に先駆けた前向きな取組みに、悪い評価は出てきません。ですから今後も積極的に取組んでいきますよ。それには、現場の技術者がこうした新しい技術や情報をもっと知る必要があります。福井コンピュータには、そうした現場への情報提供なども期待したいですね。
※2008年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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