受発注者が一体となって建設ICTを推進
~国土交通省 中部地方整備局の取組み~
ICTは難しくないと実感させるために
- 現場見学会に注力してらっしゃる背景は?
-
増氏
建設業では約50年前に機械化が進み、生産性は大きく向上しました。しかし、以降半世紀余り大きな変革がないままで、特に情報通信技術が進化したにも関わらず、業務に取入れることができていません。裏返せば情報通信技術を活用できれば、建設業もさらなる生産性向上が十分可能なのです。しかし、そのためには業務の仕組みを大きく変えなければならず、受発注者が一体となった取組みが必要です。そこで昨年11月に建設ICT導入研究会を開設し、ICT活用による生産性や行政サービスの向上、技術力強化を目指し、受発注者や開発者が一体となって技術普及・現場支援・技術研究を進めています。現場見学会もその一端です。
- 現場見学会の具体的な狙いは?
-
岩崎氏
施工者さん、特に中小企業の方は「ICTって何だろう」という方も多く、非常に敷居を高く感じています。そこで建設ICTの現実を肌身で知ってもらい、「意外と簡単なんだ」と実感してほしいと、今年1月から月1回程度のペースで行っているのが建設ICT現場見学会です。当然、見るだけでなく触ってもらい、体験してもらうことが最大の狙いで、資格を持った方には実際に重機に乗ってもらったりしています。
- 見学会のメニューをご紹介ください
-
岩崎氏
内容は現場に合せて変わるのですが、9月8日に行ったものでは、トータルステーションによる測量、バックホーによるマシンガイダンス、そして、出来形管理帳票作成(「EXTREND 武蔵」)など、一連の業務をトータルに体験してもらいました。また初の試みとして3Dレーザスキャナーのデモを行ったのですが、その精確さとスピードに、非常に多くの参加者が感動していました。
国を良くする事業のパートナーとして
- 見学会参加者はどんな方が多いですか?
-
岩崎氏
参加者は毎回約100名程度。工事会社の方が中心で、現場を預かる代理人さん等が多いですね。皆さん真剣で、上司に言われて仕方なくという方はほとんどいないように思います。参加者の意見を聞いてみると、「思ったほど難しくなかった」という声が多く、まずは狙い通りのようです。受講後、早速トータルステーションを導入したという受注者も複数あり、皆さんの積極性は予想以上でした。現状では月1回ですが、今後はさらにペースアップして開催していく計画です。とにかくICTは怖くないんだ、と。1人でも多くの方に経験してもらい、知ってもらいたいですね。
- 今後のお取組みは?
-
増氏
この11月でICT導入研究会を開始して1年になるので、一度中間的な取りまとめを行います。建設ICTを導入したモデル工事の現場も幾つか動いているので、その現場検証なども含め行います。たとえば施工性、どれくらい時間がかかったか。また設計値に対する精度などは面的な検査まで行います。それから環境への影響、安全性の向上の検証も重要な課題。これらを踏まえて次のモデル現場に活かしていきます。さらに今後は、調査、設計の段階からさらに情報を有効活用するような仕組みを考えていきたいですね。
-
増氏
ICTに取組む方にはとにかく前向きに取組んでほしいです。皆さんに積極的に取組んでいただき、その中でどんどん意見も出してもらえれば、私たちも発注者として変えるべき部分は積極的に変えていくつもりです。公共事業という国を良くしていく事業のパートナーとして、共に頑張っていきましょう。
※2009年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
本例での導入製品(製品ページ)はこちら
お気軽にご相談ください
自社に合う製品が分からない、導入についての詳細が知りたいなど、専任のスタッフが疑問にお応えいたします。まずはお気軽にお問合せください。