みずから意識変革して勝ち残る
東洋測量設計は、栃木県宇都宮市で40年以上の歴史を持つ地域密着型の測量会社。早くからGIS関連の業務にも取り組むなど、高い技術と先見性で、地域の測量業界を牽引する1社です。公共測量作業規程の改訂を、ピンチであると同時にチャンスでもあると受け止める、同社代表取締役の戸部康彦氏と、情報システム担当の太場正典氏にうかがいました。
製品仕様書の勉強が最優先の課題
- 栃木県の測量業界の状況はいかがですか?
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戸部氏
毎年の様に人件費が下落しており、業界全体が厳しい状況です。そこへさらに今回の地理空間情報活用推進基本法や公共測量作業規程、及びその準則も改訂され、勉強すべきことが非常に増えた実感があります。というのは、今まで私たちは「その他の測量」という形で作業していましたが、今回の改訂により作業規程と準則が合致されました。当然、今後は公共測量として、この新しい作業規程を理解した上で行うのが大前提となります。従って特に製品仕様書、JPGISに関しては、みっちり勉強して身に付けなければ、測量会社として生き残るのは難しいでしょう。
- それはなぜでしょうか?
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戸部氏
公共測量の規程に合わない仕様が出ても、計画機関の方でそのまま進めてしまうと、公共測量の基盤地図に載せるための申請が通らない、ということになりかねません。そうなった場合、作業機関である私たちにペナルティが課せられると聞きます。そういうことにならないよう、私たちの方から「この仕様では載りません」と、計画機関に対して意見し提案していく必要があります。となるとまず製品仕様書を徹底的に勉強し、ノウハウを身に付けることが大前提となるでしょう。
- その負担はかなり大きいのですか?
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戸部氏
製品仕様書やJPGISをひと通り学ぶには、最低60時間もの研修が必要と言われています。また、全部の測量会社が電子平板を持っているわけではないし、ハード面での対応が負担となる会社も多いかもしれません。
技術者自身の意識改革がもっとも重要
- 御社ご自身の対応状況は?
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戸部氏
当社では職員のモチベーションが高く、先日JPGIS研修の希望者を募った時も多くの希望者がありました。まずはこの60時間研修に3人を派遣し、研修後はその人を中心に社内研修を行って今年中に全社に広めます。またハードに関してはひと通り導入済みですが、さらにGPSなど増設を進めますよ。
- 早期からデジタル化を進めたのですね?
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太場氏
CALS開始時点でアクションプログラムは決まっており、維持管理フェーズの重要さは明らかでした。そこで私たちもそのフェーズを目標に定め、体制作りを進めてきました。実際、当社では電子納品成果物をGISに保管管理するシステムを開発し、公共機関に導入いただいた実績もあります。こうした提案を5年間ずっと続けてきたのが、ようやく実を結び始めてきたという実感がありますね。
- 測量会社にとってピンチばかりではない?
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太場氏
とにかく今回の法改正や新法などの施行によって、これまで影の存在でしかなかった測量業が、表舞台に出てきたのです。業界にとっては、それだけでもかつてない変革期なのではないでしょうか。特に地図に関わる地域に密着した仕事は、地元を知っている業者が有利なわけで、地場の測量業者にとっては、ビジネスチャンスでもあるんですよ。
- チャンスを活かすのに必要なのは?
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太場氏
技術者自身の意識改革が重要です。今までのように、作業規程に定められたことだけやっていればいいという仕事ではなくなってくる。そういった旧来の意識を変えて、技術力なり何なりを自らアピールしていくことで、何かしら新しい仕事や新しい分野が切り開けるのではないかと思いますよ。
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戸部氏
いずれにせよ、もはやどこかの組織に属してぶら下がっているだけでは生き残れない時代です。だからとにかく本気で取り組まなければなりませんね。難しい時期ですが、頑張って前向きに取り組んでいきましょう!
※2008年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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