測量業の技術を核に「提案力」で勝ち残る
永大開発コンサルタントは、30年余の歴史を持つ測量会社。測量と建設コンサルタントを2本柱に地域に密着した展開を続ける一方、1998年頃からIT分野にも進出。GISソフトの自社開発で大きな実績を生み出しています。新分野へ果敢な挑戦を続ける同社の企業戦略について、GIS部門長の佐々木幹浩氏に伺いました。
自社開発のGISソフトで異分野へ展開
- ホームページを拝見しましたが、一見、測量会社には見えませんね?
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佐々木氏
もちろん事業の主柱は測量であり、建設コンサルタントですが、HPでは「DocuMap」シリーズなど、GISのソフトをメインに打ちだしてますからね。よく訊かれますよ、何屋さんですか?って(笑)
- DocuMAPとは何ですか?
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佐々木氏
当社が自社開発したGISソフトのシリーズです。特にDocuMap Webは、SaaS方式で提供するWeb GISとして注目を集めています。国土地理院の電子国土Webシステ厶とGoogleMapを利用し、目的に合わせ地図を切替えて使うことができ、1台のサーバにインストールするだけで複数のユーザーが情報を配信、整理、共有可能です。すでに福岡県の「地理情報提供システ厶」や、国土地理院九州地方測量部のシステ厶などにも採用されています。
- ソフト開発という異分野で成果を上げられたのは?
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佐々木氏
これまでも測量の業務で必要があって、小さなソフトを数多く作ってきたんですが、その蓄積がベースになりました。WebGISも当初は現業の支援目的で始めたのですが、やがてこれを何かと結びつけて新しい提案ができないかと考え始めたんです。それがこの展開のきっかけですね。
- 各界で高く評価されていますね
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佐々木氏
私たちは測量技術者として「どうしたら地図が見やすくなるか」の豊富なノウハウがあります。こういう用途なら利用者はこんなところを見たがる。こんな風に見せよう、と提案できるんですね。DocuMap Webはそこが評価されました。つまり、測量会社の技術やノウハウを活かした提案力です。これは測量の仕事でも重要なポイントですよ。
測量会社の技術とノウハウを核に
- 測量でも提案力が重要とは?
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佐々木氏
近年の測量業は、本当の意味での提案をほとんどしてなかったのではないか、という気がするのです。発注された内容を報告書にまとめるだけで「何のための測量なのか」考えていなかった。しかし、きちんと計画書を照査し何のための測量か考えていけば、自ずと提案することが必要になります。それをベースに測量作業計画を立てれば、お客様もプロとして高く評価してくれるでしょう。測量技術者は自分をアピールするのが苦手ですが、厳しい時代を勝ち残るにはアピールも欠かせません。
- 貴社の場合は異業種にも積極的にアピールしていらっしゃいますね?
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佐々木氏
さまざまな異業種とのお付き合い、そこからの多角的な情報収集、そして業種の枠を超えた展開も、私たちが生き残っていくためには絶対に必要なものです。実際、すでにDocuMap Webは「まちの駅なび」といった観光分野や釣りなどの趣味の分野にも導入されており、現在はさらに教育分野などへの展開も進めています。
- ますます測量業の枠を超えそうですね
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佐々木氏
といっても、見境なく異分野に進出してるわけではありません。核にはあくまでも測量会社としての技術とノウハウがあり、これを活かして「私たちができること」をより広いフィールドに求めているだけなんですよ。とにかく測量という技術を後世に伝えていくには、地場の測量会社が生き残っていかなければ……。そのために、当社の事例が、少しでも地域の役に立てるなら、これに勝る歓びはありませんね。
※2009年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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