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株式会社 大林組

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大林組の選択
「EX‐TREND 武蔵」現場導入を開始!

わが国を代表するスーパーゼネコンの1社、大林組の土木工事部門では、CALS対応現場の土木CADシステムの導入にあたり、標準CADのひとつとして「EX-TREND 武蔵」の運用を開始しました。同社IT推進グループのお二人にその背景をうかがいます。

CAD業務効率化は現場の大きな課題

御社の土木部門の概要をご紹介ください

藤井

当社の土木部門は、国や地方自治体をはじめとする公共工事及び、鉄道や電力・ガス等の基盤整備工事を受注、施工しており、日本全国において幅広い土木事業を展開し、現在も国内だけで数百という現場が動いています。なお、私たちが所属している土木本部本部長室というのは、全国各支店ごとの事業を統括している部署とお考えください。

IT推進グループの役割は?

藤井

会社全体のIT化を推進する組織とは別に、特に土木事業の中でITをどのように活用していくか……土木事業内のIT化戦略の企画を行う部署ですね。具体的には現場に導入する機器、インフラ、ソフトウェア等の調査、選定、普及、また場合によっては開発も行います。当然、現場のCAD標準の検討も重要なミッションです。

貴部門のCADの歴史をご紹介ください

藤井

もともと当社の土木部門がパソコンを使い始めたのは、およそ20年前。それこそPC98の初期の頃ですね。CAD化については、当初は各支店ごとに取組んでいたのですが、1997年頃からCAD研修を始めていました。全店に普及すべく現場CAD化に力を入れ始めたのは99年頃。まず各店にCAD化推進の担当者を養成し、その人たちを中心に現場技術者へのCAD研修を進めました。現在では国内土木職員のうち60%強がこの研修を受講して、実際に現場でCADを使うようになっています。

御社でいち早くCAD化が進んだ理由は?

藤井

やはり現場からのニーズが大きかったですね。CADで描いた図面の品質の良さやその作図効率の高さが、現場にとって非常に魅力的だったのです。もちろん当時は図面は紙でもらっていたのですが、それが明らかにCADで描かれている。これをもしデータで貰えれば、我々もそれをベースにCADで作図すれば、施工図の作成を効率化できるのではないかと考えたわけです。もっとも実際に図面のCADデータをもらえるようになったのは、それこそCALS以降でしたが(笑)。

作図効率化は現場の課題だったんですね

藤井

そうです。工事現場の職員の主たる業務は施工管理です。施工図の作成は、重要とはいえあくまでサブ的な仕事なんですね。ですからCADを導入して、できるだけ効率化する必要があったのです。そして、その流れに一段と大きな弾みをつけ、さらに当社の現場CAD化戦略に大きな転換を促したのがCALS/ECだったのです。

現場の視点で選んだ「EX-TREND 武蔵」

CALSへの取組の流れをご紹介ください

藤井

これは当然非常に早い段階から情報収集や研究開発に取組んできました。現場での対応については、当初、平成13~14年頃はIT推進グループの前身にあたる部署のスタッフが直接、各CALS/EC指定現場に出向いて発注者と協議し、現場ごとに個別にCALS/EC対応を行っていきました。そうやって実際にCALS業務を行い、そのノウハウが蓄積するに連れて、徐々に公共工事のCAD、つまりCALS対応CADに関する懸念が膨らんできたわけです。

CALS対応CADに関する懸念とは?

藤井

電子納品成果物の作成に関して、たとえばSXFファイルへの変換は専用ツールなどを使えばなんとかなるだろうと思いましたが、問題はCAD製図基準(案)ヘの対応です。例えばレイヤ分けをどうするか。さらに各線種や文字など、CAD製図基準(案)に細かく定められた内容に現場が対応できるのか、という不安です。実際、現場ではCADそのものを覚えるだけで手一杯なのに、この基準(案)どおりに作図するとなると、どう考えても倍以上の手間がかかるか、悪くすれば全く描けない可能性さえあります。それまで現場では、当社の建設部門に合わせて2次元汎用CADを使っていたのですが、そのCADではもはや到底対応できません。そのため、何としてもCAD製図基準(案)に則った図面が描ける、CALS対応の土木専用システムが必要になり、2003年頃からCALS対応のCAD標準品の選定を開始したのです。

製品選定にあたっての基準は?

藤井

まず国産品であること。CAD製図基準(案)という日本のローカルな基準に、将来にわたって、早く、きめ細かく対応してくれるのは、やはり一定以上の規模を持った日本のCADメーカーでしょう。もちろんCALS対応製品であるのは大前提ですよ。そして、CADシステムとしては汎用ではなく、土木の現場業務に特化した専用CADであることが重要です。

なぜ土木専用CADが良いのですか?

藤井

土木の現場でのCADの使い方は、設計者のそれとは全く異なります。もちろん作図することも無いわけではありませんが、基本的には上流工程からもらった図面をベースに加工して施工図にしたり、それをまた修正して竣工図にするなどの作業が中心です。ですから、現場にとっては専門のCADオペレータが使うような高度な機能は必要ない。作図に関してはシンプルな機能と分かりやすい操作性、そして数量計算とのマッチングなどの土木専用機能が大切なのです。

岡澤

つまりCALSへの確実な対応とともに、あくまで土木の現場技術者の負担を軽減するという観点で選定を進めたわけです。私も選定の過程で「EX-TREND 武蔵」に触れましたが、画面が非常にシンプルで覚えやすそうだな、という印象を持ちました。

「武蔵」選定の決め手になったのは?

藤井

前述したような条件を全て満たしていたのももちろんですが、「EX-TREND 武蔵」の場合は、同じシリーズの福井コンピュータ製品がいちばん多く地方自治体に採用されている点を重視しました。現実のCALS現場業務を想定してみると、データ互換の問題からいっても、受発注者が同じCADを使った方がスムーズに進行するであろうことは当然です。だとすれば、発注者である地方自治体に対して圧倒的なシェアをもっている「EX-TREND 武蔵」を選ぶのは、われわれ受注者としては当然でしょう。

確実なCALS対応と現場効率化のために

今後の「武蔵」普及計画の展開は?

藤井

まずはこの6月から全国各店においてCAD研修を行い、「EX-TREND 武蔵」を紹介し修得してもらうための活動を開始します。並行して体験版を多数用意して配付するつもりです。もちろん現在使われている2次元汎用CADからいきなり全てを置き換えるというのは現実的ではありませんし、不可能だと思いますが……確実なCALS対応の実現と現場業務の効率化のためにも、3年以内には全社の過半数以上の現場に普及させていきたいと考えています。

普及のポイントとなるのは?

岡澤

「EX-TREND 武蔵」は分かりやすく覚えやすいので、若手はもちろん、40代・50代の管理職クラスの方にも使えるようになっていただきたいと思っています。

藤井

管理職クラスの方に専用CADの威力を知ってもらえば、現場IT化にはさらに弾みがつくでしょうし、小さな現場においては管理職自身がCADを使う必要が生まれるケースも少なくありません。現場効率化という点からもこれは大きなポイントなんですね。その意味でも「EX-TREND 武蔵」の分かりやすさ、入りやすさは、とても重要な武器になるのです。

その意味ではサポート体制も重要ですね

藤井

当然そうですね。CAD操作に関して、分からないことはすぐに聞けるような現場環境が望ましい。福井コンピュータには、現場に対するきめ細かなサポート体制のいっそうの充実を期待したいですね。

岡澤

もともと福井コンピュータはフットワークが良いし、対応は早いですよね。「EX-TREND 武蔵」を試行している時など、現場からの問いあわせに対しても、福井コンピュータの各スタッフは非常に柔軟に、的確に対応してくれました。まあ、その時に限らずリクエストを言いやすいし、対応も誠実ですから、これからもどんどん要望を出していこうと思っていますよ(笑)。

※2005年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

本例での導入製品(製品ページ)はこちら

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藤井 義明東京本社 土木本部
本部長室
IT推進グループ長

岡澤 実 副主査

株式会社 大林組

開 設
1892年1月
所在地
東京都港区港南2-15-2
従業員数
9960名
事業内容
国内外建設工事、地域開発・都市開発・海洋開発・環境整備ほか

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