専用CADで実現する真の現場効率化
建設情報化協議会(CIC)はゼネコンなど90社余りが結集し2004年に発足した中間法人。CALS対応を中心に建設分野の現場IT化に関わる調査研究と普及・啓蒙を進めています。ここでは現場におけるCADの選択と活用について、同協議会CAD実務研修分科会のお二人に話をうかがいました。
高度な活用が困難な汎用CAD
- CAD分科会の概要をご紹介ください
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村井氏
CAD分科会はCICの活動の1つで、建設の現場実務に役立つCAD研修の企画運営と、現場でのCAD利用の実例をまとめた事例集などのテキスト作りを行なっています。メンバーはゼネコン、CADベンダー、ITベンダーなど11社ですね。
- CAD研修を重視している理由は?
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村井氏
土木におけるCADの利用が拡大し高度化するなか、必要十分なCADスキルを養う研修の維持は企業にとっても容易ではありません。特にCALSの進行により製図基準等が次々改訂されるので、これに対応するだけでも大変です。そこで各社のノウハウを結集し共有して、各社のCADスキルを向上させるのが狙いです。
- 現場におけるCADに関わる課題は?
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村井氏
CADは現場にも相当浸透していますが、その機能がフル活用されているとはいえません。これをより高度に有効活用できれば、現場はさらに大きく効率化できます。しかし現状、業界では汎用CADが広く普及しており、単なる「お絵描き」だけならともかく高度な有効利用となるとこの汎用CADでは多くの問題があります。
- どのような問題ですか?
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村井氏
我々は図面を1から書くことは少なく、出来上がっているものをコピー&ペーストしたり書き加えたりしながら仕上げるのが基本。ですから過去のデータ資産の活用や他との連携が重要なポイントになりますが、その汎用CADではバージョンが違うと障害が生じることが多いのです。また電子納品対応に関しても今後SXFレベル3、4という高度なデータ交換になると、やはりきちんと電子納品に対応した専用CADでないと難しいでしょう。
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宮本氏
もともと機械系として出発したあの汎用CADが建設分野で、使い難いのはある意味当然です。まあ使い勝手が悪くてもビッグネームだし皆使っているから、という意識で選ばれているわけですが、さらなる効率化を目指すなら、そろそろそういう意識も払拭していくべきでしょうね。
専用CADは業務と一体化したツール
- 専用CADの優位性はどの点でしょう?
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宮本氏
専用CADは土木現場の個別の業務に特化した機能を備え、その業務自体を効率化するツールといえます。しかも個々の機能は連携しており、トータルな効率化も図れますし活用ノウハウも蓄積できます。
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村井氏
つまり単なる作図ツールではなく、施工業務の中の一部としていわば一体化することができるツールなんです。そしてそうやって一体化することで、施工業務全体の効率が大きく向上するわけですね。
- 効率化効果はどの程度違うでしょう?
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村井氏
先日の研修会で、汎用CADと専用CADで同じ作業を行なって比較してみたのですが、驚くほど大きな差が出ました。SXF図面を発注者から受取って少し修正して提出するという課題で、当初は2つのCADを並べて同じストーリーで進めるつもりだったんですが、差がありすぎて比較できないんです。まず預かった大量の図面を扱うという最初の段階で大差が付く。一気に印刷しようとしてもまた差が開く……個別の専用機能だけでなく、そういった基礎的なレベルで圧倒的な違いがあるんです。私もあらためてその差を痛感しました。
- 汎用CADユーザが専用CADに乗り換えるのは難しくありませんか?
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村井氏
いま、汎用CADを使っていた技術者が2本目に専用CADを選ぶということが起こりはじめています。1本目の時は知識も無く与えられるままに使っていたが、2本目は比較検討できるので専用CADを選ぶわけです。しかも汎用を使っていた人なら専用CADは難なく使える。さらにCICの研修で多彩なノウハウを学んでもらえれば鬼に金棒ということになりますね。
※2005年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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