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橋梁点検・補修設計に点群データを活用するメリットとは?
インフラ維持管理で広がる3D計測の可能性

2026.07.06

点群データは、測量や土木設計、施工管理の分野だけでなく、さまざまな現場で活用が広がっています。

本シリーズでは、「点群データ活用の広がり|現場事例紹介シリーズ」として、現場ごとの課題に対して点群データや3D計測技術がどのように活用されているのかを、実際の事例をもとに紹介しています。

3弾となる今回は、橋梁点検・補修設計に点群データを試行活用する大成ジオテック株式会社様(福岡県)の事例をご紹介します。

橋梁をはじめとするインフラ構造物は、供用開始から長い年月が経過する中で、老朽化や損傷への対応が重要な課題となっています。大成ジオテック株式会社様(福岡県)の事例をもとに、橋梁点検・補修設計における点群データ活用のメリットと、維持管理業務での活用の可能性について解説します。

橋梁メンテナンスで広がる点群データ活用

橋梁点検では、ひび割れ、鉄筋露出、うき、剥離、漏水などの損傷状況を確認し、調書や写真帳として整理します。

さらに補修設計では、点検結果をもとに補修範囲や数量を検討し、必要な図面や資料を作成していきます。

一方で、既設橋梁の形状確認や損傷位置の整理には、多くの現地作業と後処理が必要です。図面が古い、現地寸法と合わない、写真だけでは損傷範囲が伝わりにくいといった課題もあります。

こうした橋梁メンテナンスの現場で活用が進んでいるのが、点群データによる3D計測です。

1. 橋梁点検・補修設計で求められる正確な現況把握

橋梁点検では、技術者が現地で構造物に近づき、目視で損傷を確認する方法が基本となります。

損傷箇所を確認した後は、橋の諸元、一般図、損傷評価、写真、損傷位置図などを整理し、点検調書として取りまとめます。

ひび割れや鉄筋露出などは、現場でチョーキングを行い、写真上でも位置や範囲が分かるように記録します。

補修設計では、点検結果をもとに、より詳細な形状や寸法の確認が必要になります。既設橋梁は、図面と現況が一致していない場合や、詳細図が十分に残っていない場合もあります。

そのため、現地で細かな寸法を測り、スケッチや写真をもとに図面を作成する作業が発生します。

橋梁メンテナンスでは、現地での確認精度と、後工程での整理・説明のしやすさが重要です。そこで、現況を3次元データとして記録できる点群データの活用が注目されています。

2. 点群データで橋梁の形状や損傷位置を把握する

点群データとは、レーザー計測などによって取得した多数の点の集合体です。対象物の形状を3次元的に表現できるため、橋梁の上部工、下部工、橋面、周辺地形などを立体的に確認できます。

橋梁点検・補修設計で点群データを活用すると、以下のような確認がしやすくなります。

  • 橋梁全体の形状把握
  • 上部工・下部工・橋面の位置関係確認
  • 寸法確認や断面確認
  • 損傷位置の整理
  • 補修範囲の検討
  • 写真や調書との情報連携

点群上で寸法を確認できれば、現地計測の補完として活用できます。将来的には、点群データをもとに詳細図面を作成するなど、補修設計の効率化につながる可能性もあります。

また、橋梁だけでなく周辺の河川や地形もあわせて計測しておくことで、現場全体の状況を把握しやすくなります。補修設計や施工計画を検討する際にも、現地条件を立体的に確認できる点は大きな利点です。

3. 大成ジオテック株式会社様(福岡県)の事例:橋梁点検・補修設計における点群活用

GIS、建設、空間情報、測量調査・補償などの事業を展開する大成ジオテック株式会社様(福岡県)では、橋梁メンテナンスにおける点群データ活用を試行されています。

今回の事例では、点検の結果、状態が良くないと判断された橋梁について、補修設計業務の中で点群データをどのように活用できるかを検証されています。

現場では、橋梁部分だけでなく、周辺の河川も含めて広範囲に点群データを取得。将来的な断面活用なども見据え、橋の上部工・下部工・橋面をリンクしたデータを作成されています。

補修設計業務では、既設橋梁について概略図ではなく詳細な図面が必要になります。これまでは現地で細かく計測し、スケッチをもとに図面を作成していましたが、点群上で計測を行い、図面作成につなげる取り組みが進められています。

現時点では、点群データを現地計測データの補完や寸法確認に活用する段階ですが、将来的には点群データのみで詳細図面を作成できる体制を目指されています。

実際の橋梁メンテナンスにおける点群活用の詳しい取り組みは、以下の事例ページ・取材動画でも紹介しています。

事例ページはこちら
大成ジオテック株式会社|TREND-POINT導入事例|CONST-MAG|福井コンピュータ コンストマグ

▶ 取材動画はこちら

4. 損傷記録と維持管理情報を分かりやすくつなぐ

橋梁点検では、損傷箇所を写真や図面上に整理し、調書としてまとめます。しかし、写真だけでは損傷の位置関係や範囲が伝わりにくい場合があります。

点群データを活用すると、橋梁全体の3Dデータ上に損傷位置を整理できます。例えば、現場でチョーキングした箇所を点群上で確認し、ひび割れや鉄筋露出などの損傷内容ごとに色分けしてトレースすることで、損傷の位置や範囲を視覚的に把握しやすくなります。

さらに、点群上の損傷箇所に近接写真を紐づけることで、従来の点検調書をより分かりやすく補完できます。パノラマ写真を重ね合わせれば、現場の見え方に近い状態でチョーキング跡や周辺状況を確認することも可能です。

ただし、点群や写真だけで微細なひび割れを完全に判定することは簡単ではありません。最終的には、技術者の目視確認や経験による判断が必要です。

点群データは、点検技術者の判断を置き換えるものではなく、損傷情報を整理し、共有しやすくするための補助的な技術として活用することが現実的です。

また、橋梁の維持管理では、点検、診断、補修設計、施工、記録更新といった複数の工程があります。それぞれの工程で扱う情報が分断されると、現場状況の把握や関係者間の共有に手間がかかります。

点群データを活用すれば、橋梁の現況、損傷位置、近接写真、試験結果、設計図面などを、3Dデータ上で関連づけて整理できる可能性があります。

例えば、コンクリート品質試験の結果を点群モデル上に表示できれば、強度の状況や補修が必要な箇所を視覚的に確認しやすくなります。さらに、設計図面や補修計画と重ね合わせることで、補修設計から現場管理まで一体的に活用できる仕組みづくりにもつながります。

橋梁点検・補修設計における点群データ活用は、まだ試行段階の取り組みも多くあります。一方で、現地計測の補完、損傷記録の可視化、関係者への説明、維持管理情報の蓄積といった面で、有効な活用が期待されています。

今後、インフラ老朽化への対応がさらに重要になる中で、点群データは橋梁メンテナンスの精度向上と効率化を支える技術の一つになっていくでしょう。

今後のシリーズについて

本シリーズでは、「点群データ活用の広がり|現場事例紹介シリーズ」として、さまざまな現場で進む点群データの活用事例を紹介していきます。

点群データは、現地の形状を3次元で記録できるだけでなく、調査・点検結果の整理、関係者間の情報共有、後工程での活用にも役立ちます。今後も、実際の事例をもとに、点群データが現場でどのように活用されているのかを解説していきます。

次回は、災害査定における点群データ活用を取り上げます。

災害現場では、被災状況の正確な把握や、危険箇所への立ち入り低減、関係者への分かりやすい説明が求められます。次回の記事では、「災害査定における点群活用」の事例をもとに、点群データやデジタルツインが災害対応でどのように活用されているのかをご紹介します。

製品の詳細・資料請求・オンラインデモのご案内

本記事で紹介した課題に対し、福井コンピュータでは業務フローに合わせた製品、運用方法をご提案できます。 「まずは資料を見たい」「画面を見ながら確認したい」「自社に合うか相談したい」「費用感を知りたい」など、状況に合わせてご相談ください。

※資料請求・ご相談・オンラインデモは無料です。状況確認のうえ、最適なご案内をいたします。

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