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下水道調査にドローンを活用するメリットとは?
点群データで広がるインフラ点検の可能性

2026.06.08

点群データは、測量や土木設計、施工管理の分野だけでなく、さまざまな現場で活用が広がっています。

構造物や地形を3次元で記録できる点群データは、現地確認の効率化、危険箇所への立ち入り低減、関係者間の情報共有などに役立ちます。従来は写真や図面で整理していた情報も、点群データを活用することで、より立体的に把握しやすくなります。

本シリーズでは、「点群データ活用の広がり|現場事例紹介シリーズ」として、さまざまな現場で進む点群データ活用の事例を紹介します。

第一弾となる今回は、UAVによる下水道調査に挑戦した株式会社トライアブル様の事例をもとに、下水道調査におけるドローン・点群データ活用のメリットと可能性について解説します。

下水道調査で求められる安全性と効率化

下水道施設の維持管理では、管内の劣化状況や変状を正確に把握することが重要です。

一方で、下水道管内は酸欠や有害ガスの発生、暗所・狭小空間での作業など、調査に伴うリスクが大きい現場でもあります。作業員が直接立ち入る調査では、安全管理や作業負担の面で慎重な対応が求められます。

こうした課題に対し、近年注目されているのがドローンを活用した下水道調査です。GPSが届かない環境でも飛行できる機体や、LiDARによる3次元計測に対応したドローンを活用することで、人が入りにくい場所の状況確認や、点群データによる記録が可能になってきています。

本記事では、株式会社トライアブル様(奈良県)の事例を参照しながら、下水道調査におけるドローン・点群データ活用のポイントを見ていきます。

1.下水道調査における課題

下水道調査では、管内のひび割れ、変形、堆積物、劣化状況などを確認します。

従来は、作業員による目視調査やカメラ調査、測量機器による計測などが行われてきました。しかし、現場によっては作業員が管内へ入る必要があり、以下のようなリスクがあります。

  • 酸素濃度の低下
  • 硫化水素など有害ガスの発生
  • 暗所での視認性低下
  • 狭小空間での作業負担
  • 水量や堆積物による調査の難しさ

下水道施設の維持管理では、調査精度を確保しながら、作業員の安全性を高めることが重要です。

そのため、危険箇所への立ち入りを抑えつつ、必要な情報を取得できる手法が求められています。

2.ドローンと点群データでできること

ドローンによる下水道調査では、マンホールなどから機体を投入し、管内を飛行させながら映像や計測データを取得します。

下水道管内はGPSが届かないため、一般的な屋外飛行とは異なります。そのため、LiDARなどのセンサーで自己位置を把握しながら飛行できる機体が活用されます。

高解像度カメラやライトを搭載したドローンであれば、暗い管内の状況を映像で確認できます。さらにLiDARを搭載した機体であれば、管内の形状を3次元点群データとして取得できます。

点群データを活用することで、以下のような確認が可能になります。

  • 管径の確認
  • 断面形状の把握
  • 変形箇所の確認
  • 調査結果の図面化
  • 関係者への説明資料作成

写真や動画だけでは把握しづらい管内形状も、点群データを用いることで立体的に確認できます。

取得したデータを点群処理ソフトで解析することで、調査結果を後工程でも活用しやすくなります。

3.株式会社トライアブル様(奈良県)の事例:UAVによる下水道調査の実証実験

実際に、建設工事やドローン事業を展開する株式会社ライアブル様(奈良県)では、GPSが届かない下水道管内でドローンを飛行させ、映像と点群データを取得する実証実験に取り組まれました。

この実証では、マンホールからドローンを投入し、管内をマニュアル操作で飛行。取得した点群データを点群処理ソフトで解析し、管径や断面図の作成に活用されています。

人による調査データと比較しても、実用に向けた可能性が確認された一方で、水が多い箇所ではレーザーが吸収され、誤差が大きくなるなどの課題も見えています。

つまり、ドローン調査は従来手法をすべて置き換えるものではありません。現場条件に応じて、目視調査やカメラ調査などと組み合わせることで、安全性と効率性を高める手法といえます。

実証実験の詳しい内容や、実際の点群データ活用については、以下の事例ページ・取材動画でも紹介しています。

事例ページはこちら
株式会社トライアブル|TREND-POINT導入事例|CONST-MAG|福井コンピュータ コンストマグ

▶ 取材動画はこちら

4.ドローン活用が広げるインフラ維持管理の選択肢

下水道をはじめとするインフラ施設では、老朽化対応や人手不足、安全管理への対応が今後さらに重要になります。

ドローンや点群データの活用は、単に現場作業を省力化するだけではありません。

Ÿ   危険箇所に入る前に状況を確認する。

Ÿ   取得した情報を3次元データとして記録する。

Ÿ   関係者間で同じ情報を共有しやすくする。

こうした点で、調査・点検業務の選択肢を広げる技術といえます。

もちろん、管内環境や水量、計測条件によって適用範囲には限りがあります。そのため、現場ごとに従来手法との使い分けを検討することが重要です。

株式会社トライアブル様(奈良県)の事例は、下水道調査におけるドローンと点群データ活用の可能性を示す取り組みです。インフラ維持管理の安全性向上と効率化を支える手段として、今後さらに注目されていくでしょう。

今後のシリーズについて

本シリーズでは、「点群データ活用の広がり|現場事例紹介シリーズとして、さまざまな現場で進む点群データの活用事例を紹介していきます。

点群データは、測量・設計・施工管理だけでなく、インフラ点検、文化財調査、災害対応など、幅広い業務で活用が進んでいます。現場ごとの課題に対して、3D計測や点群データがどのように役立っているのかを、実際の事例をもとに解説していきます。

次回は、文化財調査における点群データ活用を取り上げます。

遺跡や古墳の調査では、地形や遺構の形状を正確に記録し、後世へ残していくことが重要です。次回の記事では、文化財調査の現場で点群データがどのように活用されているのかをご紹介します。

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