3D測量で土地家屋調査士事業&測量事業を拡大
さらに3D点群データを活かした「第3の柱」へ
もしTREND-POINTを使ってなかったら
点群データ活用に関わる新展開など不可能でした
大阪市のフェイスフルは、調査・測量全般と共に境界確定や不動産登記等も扱う、測量と土地家屋調査士業務のプロ集団である。近年はドローンや3Dレーザースキャナー、そしてTREND-ONEやTREND-POINTを駆使して3D測量の技術とノウハウを蓄積。3D点群データを幅広く活用しながらニーズを創出し、BIM/CIM分野など新たなフィールドを開拓しつつある。そのユニークな展開の背景と狙いについて、同社代表取締役の仲田隆司氏にお話を伺った。
3D測量の導入を機に事業を拡大
- 会社としての出発点は?
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仲田氏
現在もそうですが、土地家屋調査士がメイン事業で、測量事業がもう一つの柱となります。現在はここからさらにドローンやレーザースキャナーを用いた3D測量を行うようになっており、3D点群データを活用した第3の柱というべき新規事業も急速に成長しつつあります。
- 3D測量を導入したきっかけは?
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仲田氏
2017年8月にドローンを導入し、写真による3D測量を行い始めたのが出発点です。ドローンはその前からありましたが、その頃から空撮写真から点群データを採って処理する技術が普及し始め、同時期に測量用途に耐える高性能なカメラやドローンも登場したので、弊社も導入しようということになりました。当時、業界では他社もまだほとんどやってなかったし、早い方だと思いますよ。まあ、私自身が「新しいモノ好き」なので、新技術が登場すると取りあえず「やってみよう!」と思うんです(笑)。
- 3D測量導入の狙いは?
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仲田氏
ドローンによる3D測量のメリットの一つとして、広範囲の土地を非常に短時間で測量できるという点があります。ちょうどその頃、広い現場も増えていたので、3D測量の活用でそうした現場での生産性を上げられるのではないかと考えました。この目標はドローン導入後すぐに実現しましたが、その後、比較的コンパクトでコストも抑えたレーザースキャナーが出たのですぐに導入。いまではこれとドローンを使い分けることで、測量分野に止まらない大きなメリットを生み出せている実感があります。
- どのようなメリットでしょうか?
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仲田氏
たとえば土地家屋調査士業務の一つに、現況測量という業務があります。これは依頼された土地の中にある建物やブロック塀の位置、道路の幅といった構造物の現況を測量して面積を求め平面図を作る仕事です。私たちは3Dレーザースキャナーで点群を撮り、その点群データをトレースして平面図を起こします。スキャンしてデータを取ってしまえば後は内業だけですから、作業時間を大きく短縮できるのです。通常測量では2人がかりで3時間かかる現場も、レーザースキャナーなら1人で使えるので時短になるし、天候の影響も受けにくくなります。また、新人に任せやすいというメリットもありますね。
- 新人に3Dスキャナーを任せるんですか?
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仲田氏
若手の新人に対しては、最初は先輩が同行して実務を指導する必要があります。当然それなりに手間や時間がかかりますが、3Dスキャナーなら、未経験の若手でも単独で扱い、データを取って来られるわけです。そうすれば後は、前述の通り、私たちがTREND-POINTやTREND-ONEを使ってデータを処理し、問題なく完了できます。特に手軽で扱いやすい3Dレーザースキャナーは日常的に使う機会もどんどん増えており、3Dデータの活用も拡がっています。実際、現在では3D点群データに境界線を埋めこんだものを成果品としてお渡ししています。平面図より一目瞭然だと好評ですよ。TREND-POINTがシステムとデータを含むビューアーパックで出力できるので、お客様にも点群データを3Dでご覧いただけるわけです。
- 3D化の費用は出してもらえないのでは?
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仲田氏
そう依頼されたわけではなく、当社が一方的にサービスとして提供しているので、当然その分の料金はいただけません。なぜそれが可能かというと、3D測量の活用でそれだけ作業コストを抑えることができたから。通常の測量より早く、人も少なく作業できているので、別途3D化料金をいただく必要はないわけです。
なくてはならないTREND-POINT
- ソフトウェアは福井コンピュータ製品を?
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仲田氏
3D測量用途のソフトは、ドローン購入時にTREND-POINTを導入しました。もともと土地家屋調査士業務でTREND-ONEを使っていたこともあって、信頼できる福井コンピュータ製品を選びました。フリーウェアなら点群編集ソフトは他にもありますが、業務で使う以上、信頼性の面からもきちんとしたメーカー製品を選ぶべきでしょう。現在では、私を含め技術者全員がTREND-POINTを使っています。
- TREND-POINTの使い方は?
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仲田氏
用途に合わせて点群データのさまざまな処理をこれで行います。たとえば断面を切ったり、不要な点群を間引いたり補填してデータ自体を扱いやすくしたり……点群を扱ってさまざまな業務を展開していく上では中心的な存在です。だからというわけではありませんが、使い勝手もすごく良いですよ。それに導入した時と比べると、どんどんバージョンアップされて内容も更新され、結果として「できること」も広がりました。もし、これが無かったら点群データ活用に関わる新たな展開など不可能だったでしょうね。無くなったら非常に困ります。
BIM/CIMワンストップサービスからVR等も
- 点群〜BIM化の新規事業の状況は?
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仲田氏
昨年暮れくらいから、問い合わせが増え始めました。現状、件数的には月に2〜3件というところですが、わりと大きな案件が多いのが特徴です。すでにスキャンしたものでは、鉄道の駅舎の改修工事やアリーナの観客席の増設工事などがあります。後者の場合は、観客席の増設にあたり何か干渉が発生しないか、事前に現場の状況を3Dではっきり確認しておく必要があるということで依頼が来ました。面白いことにこれらは大阪外の案件の方が圧倒的に多くて、私たちも全国を飛び回っている状態です。前述の通り、スキャンは一人で手軽にできるし、以降は内業ですからコストもかかりません。遠方へ行っても利益が出る案件ばかりなのです。
- 今後の展開はどのようにお考えですか?
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仲田氏
やはり、3次元関連の事業はこれからますます注目されるようになるでしょうし、第3の柱として力を入れていきたいですね。現状は前述の通りBIM/CIMのワンストップサービスが中心ですが、今後は仮想関連。たとえばVRやAR等にも3D点群データは活かせると思うので、そういった方面のワンストップサービス事業を特に住宅リフォーム分野等を対象に計画中です。また、既存事業については、3Dレーザー測量できるドローンの導入を検討中です。
- 調査士が新たに3D点群測量に挑戦するとしたら、まず何を揃えるべきでしょう
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仲田氏
地上型レーザーから入門した方が良いのではないでしょうか。ドローンに比べ安全だし手軽に扱えるし、何より法規制に引っかかりません。そして、点群を扱うならソフトはTREND-POINT。これは絶対に欠かせませんよ!
(取材:2022年1月)
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