点群活用で文化財調査を高度化
遺跡・古墳調査における3D計測活用事例
文化財調査は、発掘や測量、遺物整理など多くの専門作業を伴う分野です。近年は点群データやレーザー計測の導入により、調査の精度向上と効率化が進んでいます。今回は文化財コンサルタント業務を手がける同社に、文化財調査の内容と点群データ活用の取り組みについてお話を伺いました。
- 文化財調査の業務内容について教えてください
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知本氏
当社は文化財コンサルタントとして、文化財の調査・保存・活用を支援する業務を行っています。文化財というと難しく感じるかもしれませんが、地域のお城や古墳など、身近な歴史遺産も文化財に含まれます。
日本では文化財保護法に基づき、有形文化財や無形文化財など6つの分類で文化財が保護されています。これらを守る「保存」と、公開や活用を通じて社会に活かす「活用」の二つが大きな柱です。私たちは、こうした文化財を記録し、後世へ伝えていくための調査・分析・発信を行っています。
具体的には、遺跡の測量や発掘調査に伴う土工、出土遺物の洗浄・接合・図面化などの整理作業、さらに鉄製品や木製品の保存処理なども行っています。重要な遺跡では、史跡公園化や博物館での展示企画に関わることもあり、文化財に関わる幅広いサービスを提供しています。
点群データで過去の調査を再検証
- 調査に点群データを活用されているそうですね
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知本氏
名古屋大学の研究プロジェクトの一環で、航空レーザ測量で取得された点群データを活用した地形解析を行っています。点群データから等高線図や立体地図を作成し、遺跡の地形を詳しく分析する取り組みです。
例えば岐阜県関ケ原町にある「不破関」の調査では、50年前の測量図しか残っていませんでした。そこで最新の点群データを使って地形測量図を作成し、研究者が机上で検討できるようにしました。
その結果、土塁の形状や地形の違いなど、従来の図面では分からなかったポイントが見えてきました。森林の中で簡単には確認できない場所でも、点群データによって調査対象を絞り込むことができ、効率的な現地調査につながっています。
様々な計測機器で古墳の形状を再解明
- 古墳調査でも点群データを活用されていますか
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知本氏
はい。山中の古墳は測量に手間や費用がかかるため、航空レーザーなど既存の点群データを活用するケースが多いです。さらに詳細な調査が必要な場合は、地上型レーザーを使って石室内部を計測します。
岐阜県垂井町の大滝西山古墳では、航空レーザーだけでは十分なデータが得られなかったため、UAVレーザーとLiDARスラムを併用しました。その結果、これまで直径約10mの円墳と考えられていた古墳が、全長約80mの前方後円墳であることが分かりました。
このように、複数の計測技術を組み合わせることで、遺跡の形状をより正確に把握することができます。
発掘現場でも3Dデータを活用
- 発掘調査ではどのように活用されていますか
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知本氏
発掘調査は、埋まっている遺構を掘り進めながら記録していく作業です。これまでは図面と写真が主な記録手段でしたが、最近は点群データや3Dモデルも記録として活用しています。
例えば出土遺物の位置は、従来はトータルステーションで一点ずつ測量していました。しかし点群データがあれば、後から机上で座標を抽出できます。これにより作業効率が大きく向上しました。
また遺物の計測では3次元メッシュを作成し、形状の記録や分析にも活用しています。
- 発掘調査の現場では課題もあるのでしょうか
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知本氏
大きな課題は人手不足です。発掘調査には施工管理技士、調査員、測量担当、発掘作業員など複数の専門職が必要ですが、近年は人材確保が難しくなっています。そのため当社では、ドローン測量やLiDAR計測など新しい測量技術を積極的に導入し、作業効率の向上と負担軽減を進めています。
とはいえ、発掘現場では今でも水糸を張り、鉛筆と方眼紙で図面を描く作業が残っています。長期保存の信頼性という観点から、アナログの記録も重要視されているためです。
文化財を後世に伝える大きな資産に
- トレンドポイントを導入してみていかがでしたか
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知本氏
点群データは高精度ですが、そのままでは閲覧できない場合が多いんです。3D PDFやビューアを使わないと見られないことが多いので、関係者と共有する際の課題でした。トレンドポイントのビューアは、ソフトをインストールせずにデータを確認できるため、お客様にも非常に使いやすいと感じています。
また点群データを使うことで、遺跡が埋め戻された後でも、調査時の状況を3Dデータとして残すことができます。こうした記録が残ることで、文化財を後世に伝える大きな資産になると考えています。
(取材:2026年1月)
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