本当に便利だから、i-Con現場でなくても民間工事でも、
ICTを使うのはもう当たり前
陸上土木はもちろん、港湾土木や浚渫、さらには住宅づくりを初めとする各種建築まで幅広く展開する山陽建設(三原市)は、新技術導入に積極的な企業として知られています。土工分野でも早くから3次元データの活用に取組み、2016年には国交省発注工事でi-Constructionを実施。いまや他の一般工事においても、培ったICT技術を幅広く応用しています。その現状と成果について伺うため、現場見学会を実施中の同社ICT活用現場に担当の中路恒平氏をお訪ねしました。
条件が揃えば「ICT技術を使うのが当然」
- こちらはどんな現場ですか
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中路氏
県発注の「一般道三原本郷線道路改良工事(大西工区)という現場で、簡単にいえば道路の幅員を広げる改良工事です。工事延長190mほどで、内容は道路土工に法面工、排水構造物工、擁壁工、そして仮設工など。工事期間は2017年2月から2018年2月までで、ICT技術を用いた「ICT活用工事」となります。
- 具体的にはどのようなICT技術を?
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中路氏
この現場では掘削工でのICT工事を実施しています。現地盤を3Dレーザースキャナで計測し、取得した3次元点群データをTREND-POINTで処理。これを横断図へ反映させました。ドローンでなく3Dレーザースキャナを使ったのは、現場上空を高圧電線が横切っていた為で、そこは現場の状況に合わせた方法で施工しました。そして当社が作成した3次元設計データを使い、マシンガイダンスでICT建機(バックホウ)による掘削工・法面整形を行い、完了後は再び3Dレーザースキャナで計測して出来形を確認。点群計測結果を処理して出来形観測成果にまとめ、3次元データを納品すれば完了です。
- 導入効果は実感できていますか
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中路氏
ええ。MGを使うことで、重機オペレータは運転席に着いたままリアルタイムで出来形を確認できました。結果、丁張の設置数は激減し出来形確認の手間も回数も低減しています。また過掘りや掘削不足等の失敗もなく、やり直しがありません。トータルで見ると人員や稼働日数の削減効果はかなりのものでしょうし、もちろん施工品質も向上しています。ただし機器・システム類の導入コスト、建機のレンタル代、外注費等が発生するため、当初からコストダウンが図れるとは限りません。この点は注意が必要ですね。
- i-Con現場以外でもICTをお使いですね
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中路氏
公共と民間とを問わず、条件さえ揃えば「3次元でやりたい」と思います。つい先日もある民間の駐車場の造成工事でトータルステーションを使って計測し、3次元データを活用しました。この現場も山がある所を削って進入道を作る工事で、そういう現場では正確に数量を拾うのも分かりやすい図面を作るのも難しく、なかなか完成形をイメージし辛いものです。しかし、3次元を使えば正確なイメージも簡単に作り出せるし、いろいろな方向から目で見て確認できます。それを皆で共有できるのですから、現場のメリットの大きさは計り知れません。今ではどの現場でも率先して使うようにしています(笑)。
本当に便利だから、どの現場でもICTを
- 早くから現場での3次元データ活用を?
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中路氏
マシンガイダンスなどICT技術を使い始めたのは3年前からで、ここが4現場目となります。当社では3次元の取組みはもっと以前から、たぶん10年近く前からEX-TREND武蔵でデータを作り、トータルステーションで3次元測量していたと聞いています。だから、i-Constructionで3次元データの活用が言われるようになっても、自然に取り組めました。というか、むしろ「3次元はこんなに便利なんだから使わないと不安」という感覚で、今では「これがないとやれない!」とさえ思っています。
- 福井コンピュータ製品はいつから?
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中路氏
私は当社に来て約7年になりますが、入社時すでにEX-TREND武蔵がありました。そして、2016年にi-Construction現場をやることになった時にTREND-POINTを入れ、現在はICT活用工事2本で使用しています。実は全社的には他社CADが使われているのですが、EX-TREND武蔵とTREND-POINTでないと3次元データを扱えないし、武蔵もTREND-POINTもすごく使いやすいので、私は極力武蔵を使っています。今後i-Construction現場は増えていくでしょうし、会社としても、おそらく武蔵とTREND-POINTを次第に水平展開していくようになるのではないでしょうか。個人的にはまだ土工の現場しか経験がないので、いずれは建造物の現場でTREND-COREを使って「見せる3次元」に取組んでみたいですね。
- なぜ3次元の活用をそこまで積極的に?
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中路氏
前述の通り「本当に便利だから」というのが一番の理由ですが、私の場合、3次元の活用の仕方自体に強い好奇心があります。ある作業で3次元を使ってみて「便利だな」と実感すると、そこからどんどん欲が出てくるんですね。次は「こうしてみたらどうだろう?」、失敗したら「何が原因だったのか?」とどんどん追求したくなっていろいろ調べたり聞いたりするようになったのです。それに、今日の見学会もそうですが、新しい技術を披露して皆を驚かせるのって楽しいじゃないですか。現場で「おおーっ!」と歓声が上がるとワクワクします(笑)。
- これからi-Construction現場へ取組む方にアドバイスを
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中路氏
「やらされたから仕方なく」ではなく、自ら関心を持って積極的に取組んでいくことが大切だと思います。そうやって武蔵やTREND-POINTを使いながら2現場もこなせば、誰でもICTの便利さを実感できるようになるはず。そうすれば、きっとどの現場でもICTを使いたくなると思いますよ。
※2018年春公開のCONST-MAG Vol.6で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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