―明日へ、未来へ―
i-Construction方式だけに囚われずに独自の3D点群&ドローンの活用法を展開中
島根県益田市の昭和測量設計事務所は、島根県全域に展開する地域密着型の総合建設コンサルタントです。公共と民間事業を問わず、測量設計関連業務全般に幅広く展開し、技術力・実績ともに地域をリードする存在となっています。そんな同社だけに、ドローンや3D点群の活用にも積極的に取組み、その技術をさまざまな分野へ応用・活用しながらノウハウを蓄積しています。その担い手である藤井宏昌氏に話を伺います。
i-Con方式から外れたドローン活用法
- 新技術を積極的に導入する社風だそうですね?
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藤井氏
今回のi-Construction対応もそうですが、常に業界の最新動向、最新技術の流れに対応していくスタンスで、機器、システム類もすぐ導入してもらえる環境にあります。ドローンやTREND-POINTも1年前に導入し、i-Conに関する講習会にも参加してきました。i-Conの実案件はこれからですが、いつでもできるよう予行演習を兼ねていろいろ工夫しながら公共民間業務で使っています。従来の3次元測量とドローンとTREND-POINTによる3D点群データを用いた測量の結果との比較検証なども行っていますよ。
- 民間の現場でドローンを飛ばしたりも?
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藤井氏
たとえばある宅地造成の物件で、山を切り開いた土地に「どんな風に建物を建てるか」を検討するため、ドローンを飛ばして写真を撮り、点群データ化したものをTREND-POINTで処理して現場の地形を調べました。前述のように、通常の3次元測量をした結果と比較検証したのですが、その現場が雑木や草が密生している所だったため思うような結果が得られませんでした。しかし、得られたものは少なくありません。ドローンを飛ばす時は事前の計画が一番大事で、「どこがどんな場所で、どんな作業をしたいのか」よく調べて計画を練る必要がある。現状ではi-Con方式から外れたドローン活用も多いのですが、このことはいつも注意しています。
- i-Con方式から外れた活用法とは?
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藤井氏
昨年、かなりの山奥にある林道の用地測量で使ったんですが、路線が1~2kmと長めの現場でしたが、ドローンを飛ばして上空から俯瞰して全体の写真を撮り、地権者さんにお見せしてすごく喜ばれたんです。よく山の尾根が境界線になっていますが、それを地権者に確認してもらおうにも山奥なのでなかなか足を運んでもらえません。そこでドローンで撮った写真から生成した点群データをTREND-POINTで加工し、植林の境や雑木の境、尾根や谷の形状を強調した画像に仕上げてお見せしたら「すごく分かりやすい!」と喜ばれたんです。
- コミュニケーションツールとしての活用ですね
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藤井氏
ええ。Google Earthなどでは画像の解像度が不十分で、こうした用途には向きません。やはり自分たちでドローンを飛ばして撮るのが最適なんです。実際、去年はこうした山奥の案件が非常に多かったので、いろいろ応用しながらずいぶん活用しました。3D点群データから3Dの現場モデルに仕上げ、それをノートPCに入れて地権者さんの所へ持っていってお見せし、「この尾根が境界になる」等と教わるわけです。ただ山の形状を3D化するだけでなく、雑木や植林などの植生の違いなど色で違いを強調するなど、いろいろ工夫することでぐっと効果的なツールになります。
アイデア次第でさまざまな活用が可能
- 他にも3D点群の活用事例がありますか?
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藤井氏
TREND-POINTの面白い使い方をした例を紹介しましょう。ある建物調査の案件でしたが、対象がかなり古い建物だったこともあって図面がなく、新たに図面を作りなおす必要がありました。しかし、2階建て3階建ての場合、外壁のサイズや窓の位置を測定するのは、その家にお住いの方の協力がないとなかなか難しいのが現実です。この案件も事情があって住人の協力が得られず、「さてどうしよう?」となった時に思いついたのが、TREND-POINTによる3D点群データの活用です。ちょっとイレギュラーな手法でしたが、上手くすれば簡単に面積が出せるんじゃないか……と上司と相談して上でチャレンジしてみたのです。
- 具体的にはどんな使い方を?
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藤井氏
まず当該建物の側面を撮影したんです。で、その写真を点群データ化した上でTREND-POINTで処理し、建物側面の形状や寸法を算出しました。つまり、通常は空中から……つまり上から撮り下ろす写真を、あえて横から撮って展開していくことで建物の側面を計測し、立面図まで起こすことを可能にしたわけですね。まあ、発想の転換によるちょっとした応用に過ぎませんが、この案件のように図面がなかったり、増改築で大きく変わってしまった建物が対象となることは珍しくありません。そういうケースで図面を起す場合は、このやり方が役立つのではないでしょうか。建物内部でぐるりと写真を撮れば室内形状も分かりますし、同様にトンネル内の計測も普通は3Dレーザースキャナーを使いますが、ある程度の光量があれば写真でも行けるはず。これからもいろいろ試してみたいですね。
※2017年夏公開のCONST-MAG Vol.5で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。
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