i-Construction

八幡コーポレーション株式会社

i-ConstructionBIM/CIM

初めて触れたTREND-POINTを駆使して
全国に先駆け最初期のi-Con試行工事に挑戦

複雑な線形をTREND-COREで明確に可視化
発注者、自治体、地元警察署にも好評を得る

鳥取市に本社を置く八幡コーポレーションは、この地で60年近い歴史を持つ地域密着型の総合建設会社。近年は主軸の建設業に加えて不動産ビジネスも展開し、大阪や東京にも進出しています。地域の建設業をリードする存在として早くから現場IT化も推進し、2016年には最初期のi-Construction試行工事も行った実績を持っています。すでにCIMへのチャレンジも開始しているその先進的な取組みについて、土木工事部の塚川氏に伺います。

i-Construction元年のi-Con試行工事

新しい技術の導入に熱心な社風と聞きます

塚川

新しいものにすぐ飛びつくわけではありませんが、当社のスタンスとして、時代の流れを確実に捉えて先取りしていくことを重視しています。実際、現場ではTS出来形管理から始まった情報化施工の流れに、地域で最も早くから取組んできました。私自身も機会に恵まれ、先進的な現場に多数取組ませてもらっています。

i-Constructionについては?

塚川

2016年、いわゆるi-Construction始動元年の年に鳥取西道路の土工事を受注し、ここから取組みを開始しました。実はこの現場は入札公告時点ではi-Con試行対象ではなく、従来のTS出来形を用いた情報化施工を行う予定でした。ところが同時期に新しいICT建機が登場し、ぜひ使ってみたいと思っていたら、ちょうどi-Constructionがアナウンスされたのです。ならばここでi-Conの基準に準拠した内容を実施してみようと考え、発注者と協議してi-Con試行工事としてやらせていただくことになりました。

i-Con試行現場としては最初期の取組みですね

塚川

ええ。この現場は正式名称を「鳥取西道路重山第3改良工事」というのですが、国交省のWebページでもi-Con事例の一つとして紹介されています。当社にとっても発注者にとっても初めてのi-Con現場で、正直不安な部分も多々ありましたが、国交省から発表されたガイドライン等の資料・情報を集め、手探りしながら受発注者間で相談して進めていきました。

具体的にはどのような形でICT運用を?

塚川

ドローンを用いた起工測量から TREND-POINTやEX-TREND武蔵による3次元設計データの作成、そしてICT建機(MCバックホウ)による施工という流れで、通常通りのICT土工を行いました。データ作成等も専門業者にサポートしてもらい、スムーズに進められたと思います。一つ工夫したのは、計画の施工手順を反映させた現場3Dモデルを3Dプリンターで出力したことですね。現場を手にとって見られるような模型とすることで、複雑な施工段階も明確に理解しやすく、現場スタッフ全体で共有できたと思います。その他ではクラウドシステムを活用した進捗管理なども試しました。

初めて福井コンピュータ製品に触れたのは?

塚川

この現場で触れたのが初めてです。点群データの処理や3次元設計データの作成は外注したので、基本的には私たちが福井コンピュータ製品に直接触れることはなかったのです。ただ、完成検査の時に要領案に則った出来形管理のヒートマップを自分たちで作ることにしたので、そこで初めてTREND-POINTを使うことになりました。実はこの検査は中国地方整備局としても初のi-Conの完成検査だったのですが、とてもスムーズに進められましたし、発注者からTREND-POINTも含めて非常に良い評価をいただきました。このことが一つのきっかけとなって、2番目のICT工事は、自分たちで TREND-POINTとTREND-COREを使って取組もうという話になったのです。1発目をやったからには、もう後には引けませんからね(笑)。

追加工事でCIMにチャレンジ

ICT建機による法面整形(金沢第8改良工事)

2つ目のICT施工現場をご紹介ください

塚川

これも鳥取西道路の現場で「金沢第8改良工事」です。山の切り土工がメインとなる工事で、今年3月まで施工していました。試行ではなく受注者希望型のICT活用工事として受注した物件で、前述の通りここで初めて本格的にTREND-POINTとTREND-COREを使いました。TREND-POINTは通常どおり点群データの処理に用いましたが、TREND-COREは本体工事ではなく追加工事部分で使いました。予想外の利用でしたが、大きな威力を発揮してくれました。

その追加工事とは?

塚川

鳥取市道の迂回路を設置変更する工事です。迂回路自体は50m程度の延長でしたが、周辺に電柱や架空線、既設の橋脚などがあり、それらの間を縫うようにして通さなければならず、非常に複雑な線形で計画・施工となりました。もちろん元の計画はありましたが、現地盤や実際の電柱が考慮されているか分からず、これらを精査しながら計画施工する必要があったのです。そこでTREND-COREでこれを3D化し、複雑な線形を可視化しながら検証していこうと考えたのです。

TREND-COREを用いた作業

市道部分の点群データは?

塚川

本体工事の起工測量で3Dレーザースキャナーを使ったのですが、たまたまこの市道部分まで取れていたのです。取る予定のない箇所だったんですが(笑)。そこでこの点群データを生かせないか──と福井コンピュータに相談を持ちかけてみたら、「TREND-POINTとTREND-COREでできます!」と言われ、挑戦することにしました。

点群データから複雑な線形の計画を可視化

狙い通りのものが作れましたか

塚川

初めてだったので最初は少しだけ手間取りましたが、最終的には非常に分かりやすい3D計画モデルを作れたと思います。もともとこの追加工事は「市道の線形を変える」というものになるので、発注者はもちろん道路管理者である鳥取市や地元警察署にも計画を説明して、意見をいただく必要がありました。しかし、いつものように「こういう形にしようと思います」とか「こういう線形なので保安施設ここに設置します」とか平面図で描くとどうしても雑然としてしまい、分かり難くなりがちです。ところが、TREND-COREで作った3Dなら、複雑な線形はもちろん、高さ的な部分まで明確に、分かりやすく表現され、誰でも一目瞭然で理解していただけました。

まさにCIMですね

塚川

そうですね、この時の会議ではタブレットPCで3Dデータを動かしてお見せすることで、話が非常にスムーズに進んだ実感があります。また、正しく理解してもらえるから具体的なアイデアも出やすく、建設的な意見や提案をいただきながら協議できました。

ICTなら福井コンピュータ製品がベスト

初めて本格的に使ったFC製品の感想は?

塚川

重山第3改良工事ではTREND-POINTを使いましたが、金沢第8改良工事では、比較のため別メーカーのソフトを使ってみたんです。ところが機能が限られていて思うように使えず、最終的にはまた福井コンピュータ製品に戻して仕上げることになりました。……どのソフトが合うかはその人次第ですが、私自身は、使いやすさや機能の豊富さ、表現力といった面で、福井コンピュータ製品がベストだと考えています。やってみたいと思うことにも的確に対応してくれますし、今後も福井コンピュータ製品を使っていきたいですね。

今後のICT関連のお取組みは?

塚川

指定工事のICT活用物件がどれくらい出てくるか、まだはっきり見えてこない部分がありますが、そういった指定工事でなくても、実際に活用して効果を出していけるICT技術は多々あります。ですから、後は予算との相談ということになるでしょう。現場ごとに、何に使えるか、何を使えば効果的か、検討しながら取組んでいこうと考えています。

※2018年発行のi-Construction活用事例集で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

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塚川 真也土木工事部

八幡コーポレーション株式会社

設立
1960年3月(前身:八幡建設)
代表者
代表取締役 玉木裕一
所 在 地
鳥取県鳥取市
資本金
4,900万円
事業内容
総合建設業:土木工事、建築工事、とび・土工工事、舗装、浚渫工事、大工工事、石工、屋根工事ほか

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