みずから発注者に提案する形で
i-Conに適応した作業土工を実施!
TREND-POINT & TREND-COREの
さまざまな活用法を開発
三重県桑名市の水谷建設は重機土工を主力とする実力派の建設会社。600台超の建設機械を所有し、国内外の大型プロジェクトで豊富な実績を上げています。そんな同社はi-Construction対応も早く、2016年10月に専門部署のICT施工推進室を設置。2017年3月に始まった現場では、みずから提案してi-Conに適応した作業土工を実施しました。その先進的な取組みについて、同社の岸本氏、北里氏、加藤氏に伺います。
- いち早くICTやi-Construction対応を進めていますね
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岸本氏
当社の場合、重機土工を主力とする建設会社なので、ICTのマシンコントロール/マシンガイダンス(以下 MC/MG)を中心に早くから対応を進めていました。その流れの中で、会社としi-Con対応を図っていこうということで、昨年10月にICT施工推進室を設置しました。
- ICT施工推進室設置の背景と狙いは?
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加藤氏
当社の場合、多数保有する重機が工事会社としての武器であり、ICTやi-Con対応もMC/MGが主体となります。しかし、いくら自社機械があっても3Dデータがなければ動かせません。といって「データは作ってください」「作っていただける所しか受注できません」ではお客様にとって魅力的とはいえないでしょう。逆に自分たちでデータ作りし、i-Con時代の新たなニーズを掘り起こしていこう、ということが目標です。事実、平成27年度東海環状大安ICBランプ西橋梁下部工事の現場では、こちらから提案する形で、i-Conのメニューを3Dデータの取得からICT建機の稼働までひと通り全て行いました。
- 取組みの内容をご紹介ください
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北里氏
現在建設が進んでいる東海環状自動車道の大安インターチェンジの工事現場です。i-Conに適応した施工は、Bランプ下部工橋脚3基の場所打杭施工後の作業土工で実施しました。元々工種にないものですが、発注者に提案し協議の上、床掘りの作業土工でi-Conで示された4ステップ……起工測量での3D測量、そのデータから3D設計データの制作、そしてICT建機によるMGでの施工、3D出来形管理……を取り入れたんです。
- なぜこの現場でi-Conを?
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北里氏
場所打杭施工後の床掘なので、地中に構造物がある状態での掘削作業になります。地中構造物には損傷も衝撃も与えられないし、狭い中での作業なので安全面も課題でした。そこで、この品質管理と安全管理の2課題をクリアするためi-Conの導入を提案。4ステップを必ず実施するということで、発注者からOKをもらいました。もちろん今後本格化するi-Conの流れを先取りする、チャレンジ的な意味合いもありました。
- 実際のi - C o n 関連作業はどのような分担で?
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北里氏
MC/MGはすでにノウハウの蓄積があったので、3Dレーザースキャナーによる起工測量や点群データの処理、3D設計データの作成に関してICT施工推進室にサポートしてもらいました。おかげで比較的スムーズに進められました。従来は不可視の地中の杭の位置を細かくマーキングしたり一つ一つ指示する必要がありましたが、今回は杭の位置や床付けの高さも、オペレーターがキャビンに居ながら把握でき、彼らにはたいへん好評でしたし、精度的にも質の高いモノが作れたと思っています。
現場のi-Construction対応だけには留まらない
TREND-POINTとTREND-COREの活用法
水谷建設のICT施工推進室ではさまざまなソフトウェアを駆使して、i-Construction対応現場をサポートしています。中でもその主力となっているのが、福井コンピュータのTREND-POINTとTREND-CORE です。引き続き大安ICBランプ西橋梁下部工事における両ソフトの活用について伺います。
- 福井コンピュータ製品は以前からお使いですか
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岸本氏
7~8年前に国交省の案件で初めてマシンガイダンスを使用し時、協力してもらったのがきっかけで、以来、国交省の発注案件は全面的に福井コンピュータのソフトを使い続けています。ICTにせよi-Conにせよ、業界の先端的な動きに対してどこよりも早く、確実に対応してくれるので、この点ではとても信頼しています。
- TREND-POINT、TREND-COREの導入経緯は?
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加藤氏
実は以前、私自身は他社製3D CADを使用していたんです。しかし、この新しいi-Conの流れのなかでは、国交省が示す指針に対応するベースをしっかりもったCADベンダーを選ぶ必要があります。しかも、その流れにあって特に3D点群データの活用が大きな課題となっていたため、福井コンピュータのTREND-POINTとTREND-COREを選びました。
- 両ソフトはどんな風に使いましたか?
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加藤氏
TREND-POINTは、やはり点群を読込んでフィルタリングしていく作業が中心ですね。これを設計データを作るベースとなる起工時現地盤としたほか、起工測量の結果と一致した掘削設計データを比べ各橋脚の掘削土量も算出しました。3Dレーザースキャナーで取ったデータはもちろん、重機から溜め込んだデータも読込ませてこれもフィルタリングするなどしましたが、膨大な点群の取込みもフィルタリングも早かったですね。前述の他社製3D CADの場合、大きなデータを扱うとちょっと視点を変えただけでフリーズしてしまったりして困るのですが、TREND-POINTはそれがありません。上司に見せるためグルグル回すなどして見せても、常にスムーズに扱うことができるのでたいへん助かります。
- TREND-COREについてはいかがですか?
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加藤氏
実は最近、いま作っている3つの橋脚の鉄筋モデルをTREND-COREで描いてみました。最初のものに1週間ほどかかりましたが、あとの2つは各3日程度で仕上がりましたね。しかも、面白いことにTREND-COREで描くことが「モノの作り方」をそのままトレースするのと同じなので、描きながら「作業的にはここが厳しくなる」とか「この辺は過密だからきちんと伝えよう」等と分かってくるんです。また描いている本人だけでなく、他人に対してもモノの特徴や指示のポイントが伝えやすいというメリットもあります。こんな風に作業者レベルまで活用できるのは、とても素晴らしいですね。
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岸本氏
私も見ましたが、鉄筋が干渉しあう所がひと目で分るんですよ。線1本で描く設計者が気づかないような干渉箇所も、これでチェックできるのではないでしょうか。また、これを見れば誰でも「こういう風に作るのか」と作り方や仕事の流れが理解できる。若手や新人の教育、あるいは地元への説明会などにも活用できると思いますね。
- 現場の進行状況は?
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北里氏
i-Con手法を用いた土工事が終わり、いまは橋脚の構築が進んでいます。先週P3とP4の底盤部のコンクリ-ト打設が完了し、続いてP5の打設が始まります。その後、柱から梁へと進めていき、9月末の完工を目指しています。
- i-Con関係の今後の取組みは?
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加藤氏
もちろん同タイプの現場があれば積極的にチャレンジし、件数もどんどん増やしていく計画です。また、いろんな場面で新しい使い方も試したい。特に「完成すると見えなくなってしまう場所」「そもそも見えない部分」の施工に関しては、まだまだ新しい使い方ができる気がしています。
※役職などは2017年秋、取材当時のものです。
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