i-Construction

奥村組土木興業株式会社

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公共・民間を問わずICT等の新技術に挑戦
さらなる3D活用を現場へ浸透させていく

2020年に創業百年を迎える奥村組土木興業株式会社(以下 奥村土木)は、土木建築工事を中心に、ガス工事や舗装工事、建設資材の製造販売など幅広い分野に展開する実力派ゼネコン。新しい技術や手法に積極的に挑んでいく企業風土のもと、土木分野におけるICT活用も早くから推進。i-Constructionについても、初年度から舗装工のi-Con現場に取組むなど先進的なチャレンジを続けています。同社でICT活用の取組みを主導する環境開発本部に、桑本技術部長と技術部の皆さんをお訪ねしました。

日本唯一の岩盤切削機でMCを活用

幅広い分野に展開しておられますね

桑本

土木建設工事に都市ガスの配管工事、そして建設資材製造販売の3部門が当社事業の三本柱となります。土木建築分野においては、公共工事を中心に民間工事も併せて、多様な土木建築工事を行っています。他社にない技術としては、たとえば日本で唯一の岩盤切削機を用いた独自の岩盤切削工法があげられますね。

独自の岩盤切削工法とは?

桑本

通常、岩盤の切削には発破が使われますが、近隣に民家があるような現場では、騒音や振動、粉塵等の問題から発破が使えません。当社では、ドイツのメーカーと協力して開発した岩盤切削機「サーフィスマイナー」により、低騒音・低振動・低粉塵の岩盤切削を実現しています。現在はこの岩盤切削機を4台所有しており、近く新型機をさらにもう1台導入する予定です。実は今回話題のICTの取組みも、この岩盤切削機への導入が当社にとっての出発点なんですよ。

岩盤切削機でICT技術をご利用に?

藤森

20年ほど前のことですが、岩盤切削機の位置情報をCAD図面上へ記録するため、当時発売されたばかりの自動追尾式のトータルステーションを導入しました。現在のマシンガイダンスと似ていますが、切削量を自動的に記録できるようにしたかったんです。当時はまだMC/MGは存在せず、専用ソフトもなかったので自社開発しました。

実際に運用されたのですか?

藤森

もちろんです。岩盤切削機は振動が激しく搭載したPCがすぐ壊れてしまうので大変でしたね。自動追尾も当時はすぐにロストしてしまうし……当初はなかなか上手くいきませんでした。やがてタフな産業用BOX-PCが登場し、TSも追尾性能が向上して使えるようになりました。今ではアスファルトフィニッシャ用のMCシステムをカスタマイズして岩盤切削機に搭載し、MCで運用しています。

そのノウハウを土工へ応用した?

藤森

ええ。現場で本格的に取組み始めたのは約10年前から。公共工事の総合評価方式が広まり、加点対象となる技術を探したのがきっかけです。最初は転圧管理から始め、すぐバックホウやブルドーザのマシンガイダンスにも取り組むようになりました。これにより、当社の現場ではそうした新技術に馴染みやすい土壌ができ、i-Conへも抵抗感なく入っていけました。

さらなる3次元活用を現場へ浸透させる

TREND-POINTを用いたICT活用現場

現場のICT活用支援チームがあるとか?

藤森

私を含め技術部員3人がチームとして動いています。公共民間を問わずICT関連の工事の話が出たら、その現場の担当者を交えて「何ができるか」「何をすべきか」を相談して決定し、私たちが直接現場に出向いて運用をサポートします。会社としては「すべての現場にICTを導入する」方針なので、チームメンバーは常時7~8から10現場を手分けして走り回っている状況です(笑)。

民間の現場でもICTを?

梅宮

むしろ自由度の高い民間工事こそ、チャレンジングな取組みを行いやすいですね。国交省発注工事では活用するICTのメニューがほぼ決まっているので、私たちが提案する余地はさほどありません。しかし、施工方法の選択などに自由度が高い民間工事なら、求められる品質さえきちんと担保できれば、新技術への許容度はかなり高いです。だから私たちは民間工事で新技術を積極的に試し、その成果を公共工事に生かせればと考えています。

初のICT舗装工はいかがでしたか?

藤森

ICT舗装工については、「3Dレーザスキャナを用いた出来形管理(TLS出来形管理)」が肝になると考え、昨年度から準備を進めていたので、ある程度自信を持って工事に臨むことができました。舗装全層についてTLS出来形管理を実施しましたが、大きなトラブルもなく、この1 2月に竣工を迎えました。これまでもミリ単位の管理が要求されてきた舗装の施工で、新たに面的な全数管理をしなければならないということになり、現場は非常に気をつかい苦労して施工したようです。しかし、この経験もきっと次の現場に活かせるはずです。

ツールは何をお使いですか?

梅宮

手法もツールも現場に合わせて多様な製品を使い分けています。福井コンピュータ製品はEX-TREND武蔵とTREND-POINT、TREND-COREを使っており、特に土工工事に関しては福井コンピュータ製品が主力です。中でもTREND-POINTは、計測した膨大な点群データも軽々扱えるし、ビューアー付き3次元データで出力して皆でビジュアルに共有することもできるので非常に便利に使っています。

今後のご計画は?

藤森

会社の方針として、2年ほどの期間でICTを現場へ普及浸透させていく計画です。具体的には、公共・民間の現場を通じて蓄積した技術・ノウハウをまとめてケース毎に取捨選択し、施工方法や使用機械について「こういう場合はこう」という指針をまとめます。これができあがれば、ICT工事について、全社的にシステマティックな対応が可能になるのではないか、と期待しています。

桑本

広い意味では、やはり3次元の活用を現場にさらに普及させることが目標ですね。特に今後は3次元のヴィジュアライゼーションを現場作業で多くの人間が使えるようにしていきたいです。打合せや計画等様々なシーンで上手く3次元を活用できれば、ものの形状やものづくりの手順もイメージしやすくなるはずです。人材教育の点からも大きな効果が期待できますし、そういう活用法も考えていきたいですね。

※2018年春公開のCONST-MAG Vol.6で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

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桑本 浩氏奥村組土木興業株式会社
環境開発本部 技術部長

梅宮利之氏奥村組土木興業株式会社
環境開発本部 技術部 技術スタッフ

藤森章記氏奥村組土木興業株式会社
環境開発本部 技術部 技術マネジャー

奥村組土木興業株式会社

創業
1920年1月
設立
1959年5月
代表者
代表取締役社長 奥村安正
資本金
10億円
本社
大阪市港区
事業内容
土木、建築、設備、導管、舗装、建設資材ほか

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