TREND-POINT&TREND-COREをフル活用して
国交省ガイドラインに沿った本格的CIM現場へ挑戦
現場で「楽に活用できる」ツールが求められるいま
福井コンピュータ製品には大いに期待している
鬼怒川左岸船玉伊佐山地区整備工事は、2015年に豪雨被害を受けた、鬼怒川下流域の最上流部分約2.8kmの河川築堤及び排水樋管5基の新設工事。同時にICTの全面的活用を推進する発注者指定型のCIM活用現場でもあります。工事を請負った大林組は早くから現場でのCIM活用に取り組んできたビッグゼネコンですが、同社にとっても初めての本格的なCIM活用現場となりました。同現場を担当した大林組の皆様に取り組みの詳細について伺います。
ICTの全面的な活用推進現場へ挑戦
- 鬼怒川の現場についてご紹介ください
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友廣氏
5年前の豪雨で決壊した鬼怒川の堤防を整備しようという国交省の事業で、我々はその一部となる堤防区間の新設工事に携わっています。具体的には延長約2.8kmの河川築堤と排水樋管5基の新設工事で、発注者指定型のCIM活用現場となっていました。私自身、3次元モデルを部分活用した経験はありましたが、正式なCIM現場として本格活用するのは初めてだったのですぐに設計一部に相談を持ちかけました。
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古荘氏
相談を受けたのは2年ほど前でした。当社では平成24年からBIM/CIMの活用を始めていましたが、国交省のガイドラインに沿って正式な業務として取り組むCIM現場は私たちもほぼ初めてでした。ですから最初は正直いって手探りで「CIMで何ができるのか?」現場と話し合うことから始めたのですが、この会合に参加してもらったのが、TREND-POINTやTREND-CORE等を導入した福井コンピュータです。
- なぜ福井コンピュータをお選びに?
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古荘氏
私自身、福井コンピュータを業界でトップを走るCADベンダーと認識していたのです。加えて、先行してCIMソフトを検討していた弊社別部門の担当者に福井コンピュータを勧められたのも大きいです。
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黄氏
「福井コンピュータのソフトが良い」と紹介されましたね。ちょうど使用ツールを選ぶ必要があったので福井コンピュータ製品でできることを調べ、他社と比べました。たとえばCIMモデルも線形モデル、土工形状モデル、地形モデル、構造物モデル等さまざまですが、そのほとんどが網羅される鬼怒川の現場に対応できたのは、福井コンピュータともう一社だけでした。そこで両者を比べ、TREND-POINTとTREND-COREが特に使えると判断したのです。実際には、この2製品に加えてCIMPHONY Plusも使用中です。
- では、実際のCIM活用内容をご紹介ください
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古荘氏
設計側から紹介しますと、①CIMモデルと2D図面の整合照査、②既設構造物と新設構造物との接続部確認、そして、③部材の干渉チェックと④数量算出の4項目となります。まず①ですが、前述した5基の樋管構造物について、今回は構造図や配筋図などの2D図面に加え、設計時に作られた構造/配筋のCIMモデルも受領しました。CIMモデルは施工段階での活用が目的ですが、それにはCIMモデルと2D図面の整合性を確認しておく必要があったわけです。
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黄氏
この① の整合確認に使ったのがTREND-COREです。読込んだCIMモデルと2D図面を色分けし、見分けやすくした上で重ね合わせて目視チェックを行ない、問題箇所は必要に応じモデルを修正しました。通常、2D図面の全ての照査は時間的にも作業量的にも大変な作業となりますが、今回は色分けによる工夫でかなりスピードアップできましたね。
- 既設構造物と新設構造物の接続部確認とは?
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古荘氏
今回は既設構造物と新設の樋管構造物の接続部を確認するため、レーザースキャナーで既設構造物周辺の点群データを採取し、TREND-POINTを用いて、この点群モデルと新設構造物のCIMモデルを統合しました。すると既設水路の一部個所が設計図で示すより低く、接続部にズレが生じていると分かりました。図面では説明し辛い箇所ですが、CIMモデルにより問題を視覚的に把握でき、発注者への説明や対策協議もスムーズに行うことができました。
施工段階におけるさまざまなCIM活用
- 施工段階でのCIM活用はいかがでしょう
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友廣氏
施工時のCIM活用は大きく4項目ほどあげられます。①CIMモデルを用いた施工ステップの制作、②品質管理のための属性付与、③クラウドを用いた情報共有、そして④レーザー測量による出来形管理となります。このうち、特に福井コンピュータ製品を活用したのは①②③です。まず①ですが、ドローン測量で得た地形の点群データと構造物の3Dモデルを統合し、3D施工ステップモデルを制作し、各種の作業計画や現場の情報共有に活用しました。
- ここでは福井コンピュータ製品を?
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五嶋氏
はい。点群処理にTREND-POINTを、3Dモデルの制作にTREND-COREを使っています。従来は、点群データに航空写真を5mメッシュで貼り付けて見せていましたが、今回は3Dモデルを使うことで起伏も視覚的に表現されて分かりやすく、平坦地造成の検討など効率的にできました。現場では作業前に各ステップの完成形を3Dで確認することで、作業員も含めた情報共有もスムーズだったと聞いています。
- 続いて②品質管理のための属性付与とは?
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友廣氏
完工後は維持管理フェイズに移行し、私たちが作った物を発注者が使うことになるので、そこで活用してもらうための情報を入れたわけです。具体的には国交省のCIM導入ガイドラインを参考に属性を付与していきました。CIMモデルに属性情報を付与するにはモデルに属性情報を与える直接付与と、情報を外部データとしてリンクさせる外部参照がありますが、今回はコンクリート打設日やスランプ、養生等に関する情報を3Dモデルに直接付与しています。
- ③のクラウドを使った情報共有はどのように?
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古荘氏
発注者と現場、本社サポート部門で情報共有するため、クラウドサービスのCIMPHONY Plusを導入しました。発注者はこういう形の情報共有に慣れておらずフル活用はできませんでしたが、第一歩としては良かったと感じています。TREND-COREやTREND-POINTをインストールしていないPCやiPad等でも見られるので、発注者にも勧めやすいですね。
現場CIM活用に最適な福井コンピュータ製品
- FC製品の使用感をお聞かせください
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鈴木氏
私は、古荘副部長の元で主にTREND-COREを用いてCIMモデルの編集やモデルによる検証を行っています。もちろん他社のBIMソフト等も使いましたが、私の感覚としてはTREND-COREの方が総じて動作が快適で使いやすかったですね。しかも、他社ソフトと違い、TREND-COREはこれ一本でモデル編集も属性付与……直接付与も外部参照もできる。1ソフト上でひと通りスムーズに扱えるのは、我々にとって大きなメリットです。とにかく非常にパワフルで助けられることの多いプラットフォームでした。
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五嶋氏
私は現場でTREND-POINTを使う機会が多かったのですが、点群データを処理して目に見える形にできるというのは本当に強力で……たとえば設計上の問題への対応で発注者側との協議が難航し、1年余りも保留状態になっていた箇所があったんですが、そこでこの問題箇所を見える化することで即理解いただけ、次のステップへ進めました。こういう場面で使えたのは、非常に良かったと思いますね。
- CIM対応の体制が整ってきましたね
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髙橋氏
当社の場合、そもそもは2019年の4月に土木本部内にi-Conセンターというi-Con対応の専門部署が生まれ、ICTを活かした現場業務効率化の支援を開始しました。その後、特にCIM活用工事への対応が重要になってきたため、i-ConセンターもCIM専門チームとして強化。CIMの大きな流れに対応して各現場を確実に支援できる体制づくりを進めてきたのです。
- i-Conセンターとしての今後の取組みは?
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髙橋氏
現場の皆がすぐに使えて効果が出なければ、生産性の向上には繋がりません。誰でも、聞けばすぐCIMを始められるような体制作りが課題です。たとえば現場ごとにCIM支援のプロを派遣するデジタルコンシェルジュ等の施策も開始しました。ツールについても楽に活用できることがキーワードになるので、福井コンピュータ製品には大いに期待しています。ぜひ、いろいろご相談させていただきたいですね。
※取材は2021年2月に行われたものです。役職などは取材当時のものです。
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