VR/AR

清水・熊谷・東急・竹中土木・鴻池特定建設工事共同企業体 東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)大泉南工事

VR/AR3D活用事例

「子どもたちに誇れるしごとを。」
点群データと3次元モデル、VRを多角的に活用
最新技術で生産性向上を目指す21世紀型現場

東京外かく環状道路は都心から約15km圏域を環状に連絡し、首都圏の渋滞緩和を目指す新しい環状道路です。中でも大泉JCT~井の頭通りの総延長約7kmを結ぶ「本線トンネル(南行)大泉南工事」は、長距離・超大断面・大深度の高速施工が求められる難度の高い工事現場。それだけに最新のi-Construction技術が数多く投入され、3Dデータが幅広く活用されています。その現状と今後の展開について、建設所長の原忠氏と小野澤龍介氏、松下文哉氏に伺います。

バラエティ豊かなCIM「実験室」として

TREND-POINTで計画モデルと現況点群を比較し、
施工方法を検討している

かなりの大型プロジェクトですね

5社JVの事業ですが、スポンサーを務める清水建設にとっても単工事としては最大級で、大泉JCTから井の頭通り下まで約7キロに及ぶトンネル掘削工事です。トンネルは南行/北行の2本のうち南行を当JVが担当し、別の2JVが東名JCTから井の頭下までのあたりを担当。全体では4JVによる総計16kmのトンネルの分割施工となります。

具体的な工事内容と現在の進行状況は?

シールド工法による掘削がメインですが、北行トンネルとの横連絡坑(避難路)や掘進しながら作る床板、また東名側から来るトンネルとの地中接合も行います。現在は準備工事として土砂運搬設備や土砂仮置場造成、支障物の撤去等を進めています。これは高速道路上にベルトコンベヤを設け、仮置場まで土砂を運搬するという取組み。外径が15.8mという日本最大のトンネルだけに、掘り始めると1日1万立米以上の土が出て作業ヤードでは捌ききれないのです。

現場の課題は?

4工区共通の課題ですが、長距離かつ大深度、超大断面トンネルの高速施工という点です。坑内は規模が大きく複雑なため、現場状況を把握するのも容易ではなく、全体を3次元的に捉えることが重要になります。当然、CIMも当初から実施予定で、特に坑内はすでに3Dモデル化してそのデータを幅広く利活用しています。そうして本当に役立つ3D活用を見極め、社内にも普及していきます。

実際にどんな3Dデータ活用を実践中ですか

小野澤

先ほどのベルトコンベヤもTREND-COREで3Dモデル化しており、これをTREND-POINTで加工した点群情報と重ね合わせて設備の専門業者と共にモデル上で確認。設備計画を照査しています。また、3Dモデルに点群情報を取込み、トンネル天端とコンベアの離隔から道路面を計画したり、トンネル地盤面と計画道路面を比べて掘削高を確認するなど、現況に基づいた設備計画もいろいろ行っています。後は3Dレーザースキャナ等で取った点群による現場測量や、その点群を元に2次元図面を起こすこともしています。

i-Constructionの枠を超えていますね

小野澤

i-Constructionのメニューに留まる必要はないのではないでしょうか。点群データや3Dモデルなど、現場でツールとして使えるものはどんどん工夫しながら試し、幅広く使っていけば良いでしょう。特に現場では、3Dデータの活用を試す狙いもあって、さまざまな取組みに挑戦しているわけです。

広がる「現場VR」の世界

現場事務所内VRブースでTREND-CORE VRを体験できる

福井コンピュータ製品を選んだ理由は?

小野澤

当建設所が福井コンピュータとお付合いを始めたのは昨年からですが、きっかけはVRなんです。福井コンピュータのショールームでTREND-COREVRを体験し、強烈な没入感に驚かされました。すぐに当現場の立坑の3Dモデルを作ってもらい、幹部以下全職員にVR体験してもらいました。そして、こうしたCIM技術やVR技術を駆使し、真に現場の生産性向上に役立てていこう、という趣旨で同社との繋がりを深めていくことになったのです。

VRはどのように活用していきますか?

小野澤

すでに現場事務所に専用のVRブースを設けて、さまざまな形で運用を開始しています。実際、CADオペレータや一般事務員の方も含め、全職員にVRでこの事業を体感してもらいました。要は「こういう場所でこのようなものを作るのだ」という事をリアルに感じてもらいたかったのです。

原氏(右)と小野澤氏(左)

反響はいかがでしたか

小野澤

「分かりやすい!」と大好評でした。こんな風に掘削開始前に現場の全体像を把握できることは非常に重要で、先端作業従事者にも安全教育訓練の一環として体験してもらっています。これから始まる現場はこうで、ここへいくと危険だとVRで理解してもらうことを期待しています。図面や言葉では伝わりにくい内容もすぐ理解してもらえますよ。今後はシールド坑内での運用検討等にも応用したいですね。3Dスキャナで施工途中や施工後の現場の点群を取得して3次元モデルを作り、VR空間内で現況と計画の差を検査するなどしていこうと考えています。

VRの導入効果はいかがでしょうか

省力化という点ではまだまだですが、品質や安全性の向上に寄与できています。事実、2D時代に比べ手戻りは激減したと感じます。現場の安全に関する問題や品質に関する不具合は大きく減らせるでしょう。今後は坑内の設備……特に立坑の設備計画や床板の施工計画にも活用していきます。特に進捗に一番影響する道路床板の施工計画は3次元的な発想がカギとなるので、VRも大いに威力を発揮するでしょうね。

※2018年春公開のCONST-MAG Vol.6で掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

本例での導入製品(製品ページ)はこちら

お気軽にご相談ください

自社に合う製品が分からない、導入についての詳細が知りたいなど、専任のスタッフが疑問にお応えいたします。まずはお気軽にお問合せください。

原 忠清水・熊谷・東急・竹中土木・鴻池JV
所長 現場代理人(清水建設所属)

小野澤 龍介清水・熊谷・東急・竹中土木・鴻池JV
機電課長(工事長)(清水建設所属)

松下文哉清水・熊谷・東急・竹中土木・鴻池JV
(清水建設所属)

清水・熊谷・東急・竹中土木・鴻池特定建設工事共同企業体 東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)大泉南工事

工事場所
自)東京都武蔵野市吉祥寺南町
至)東京都練馬区大泉町
受注金額
1,138億円(税別)
工事概要
東京外かく環状道路の大泉JCT付近~井の頭通り付近総延長7kmのシールド工法によるトンネル工事

新着事例