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スマホとタブレットで3Dを現場に持込み、確実な省力化を実現し作業員の士気も向上!

【User’s Voice/対談】福井コンピュータ×株式会社羽田組様(長野県)

若い作業員も「言われて」ではなく「自ら進んで」やる。
──現場における3Dデータ活用の一番の効果です。

長野県小県郡の羽田組は、長野県の東信地域に展開する地域密着型の工事会社である。道路やトンネル、橋梁、河川整備等の多彩な土木工事から管路施設の管更生工事等まで、各種の公共工事に取り組んでいる。そんな同社は新技術の導入/活用にも積極的で、EX-TREND武蔵など福井コンピュータ製品を核に早くから現場IT化を推進。最近は特に3Dデータを幅広く活用している。ここでは専務取締役の佐藤雅史氏と工事長の小山雄輝氏に、特に現場での実際の取り組みについて伺った。

ARを現場で活用し全員でイメージを共有

現場での3Dデータ活用の取り組みは、どのような流れで進めていますか?

佐藤

現在取り組んでいる河川工事の現場の例をご紹介しましょう。ここは豪雨災害の災害復旧工事の現場なのですが、着工にあたってまず発注者と協議し「この現場は3次元で施工します」と伝えて先方の了承をいただきました。その上で起工測量を行って点群を取り、TREND-POINTで加工。さらに設計データを元にTREND-COREで3Dモデルを作成し、これをさまざまに活用していったわけです。

TerraceARで現場イメージをつかむ

実際にどのような活用を?

佐藤

最新の活用例としては、3DモデルとTerrace ARを用いたARの取り組みがあります。現場に入る前に、現場の作業員たちと一緒に「今から一緒に作るもの」をARで見て、施工内容をリアルにイメージしてもらおうと考えました。今回は仮設や構造物、左右両岸の仮締切位置等々までARで見せることができたので、たいへん効果的だったと思います。

具体的にはどのような効果が?

佐藤

通常は測量しながら仮設等を行った上で進めていきますが、今回は作業員もARを見て事前にイメージできていましたし、3Dモデルも重機のシステムに入れてあるので、丁張も何も掛けずに全て重機で行うことができました。おかげで私は仮設の間は一切現場に行かず、たまに工事写真を撮る程度でしたし、作業員も2名ほどで充分でした。他の作業員には土嚢作りを進めてもらうなどの余裕が生まれ、けっこう楽にできた実感があります。

どのように発注者へ提案しましたか?またその評価はどうだったでしょう

佐藤

「3次元でやる」という協議書を出す時にPCを持っていき、TREND-COREでビジュアルに提案しました。前述した左右両岸の工事の流れについて、「第1段階は左側から始め」「次にここを」という風に、全て順番にお見せしたのです。先方もすぐ「分りました」と理解くださり「凄いですね!」という言葉までいただきました。若い監督官だったので、3次元に興味があったのかもしれませんね。

施工状況を現場で確認

ARの取り組みを始めたきっかけは?

佐藤

以前はTREND-COREで作った3DモデルをTREND-FIELD端末に入れて持ち込み、現場で点群と合成したものを画面で見せながら説明していましたが、正直、効果はいまひとつでした。たぶん当時は作業員も点群をよく理解してなかったんでしょう。端末の画面も小さく、私も「分りづらいなあ」と感じていました。そこで何か良い方法はないかと探し、SNSで見つけたのがTerrace ARでした。

TREND-COREによる3Dモデル作りで、特に手間がかかるのは?

佐藤

3Dモデル制作においては、元になる2次元図面が合っているかどうかが非常に重要です。だからこれを確認するための照査に一番手間や時間をかけています。逆に2次元図面さえ合ってさえいれば、モデリングしてデータを仕上げる作業は1日ほどで完了します。

3Dデータを様々な場面に応用していく

他にも3Dデータの応用例はありますか

佐藤

これはまだ発注者にはお見せしていないのですが、TREND-COREで作った完成予想の3DモデルをTwinmotionに取り込んで、視点を動かしながら自動車のモデルを走らせた動画も作りました。ぜひ発注者にもお見せしたいですね。

3Dデータ活用の取り組みのきっかけは?

佐藤

最初に興味を持ったのはインターネットで、端末とバックホウにプリズムを付けて作業している動画を見たんです。当時は従来通り丁張をかけて施工していましたが、どうしても代理人がつきっきりにならざるを得ず、高さを見て確認する人員等も必要で……。そうした現場が幾つか重なると手が足らず、私たちも動けなくなりかねない懸念がありました。この課題解決のヒントになったのが、前述した記事の事例動画でした。

3Dデータの活用が問題解決を導いた?

佐藤

ええ、3次元データを作るようになってからは、そのあたりは全く楽になりました。また、現場での計算も同様に手軽にできるようになって負担は大いに減っています。

FIELD-TERRACEで出来形計測

FIELD-TERRACEはもう御社の現場に浸透していますか

佐藤

そうですね。FIELD-TERRACEはみんな使えますし……実は私は最初、TRENDFIELDしか使えず、FIELD-TERRACEの良さが分からなかったんですが、他の人が皆FIELDTERRACEを使っているので、試してみたら全然早いし誰でも使いやすい画面だし、なるほど、と。ただスマホの画面は小さく見難いので、私たちは片手で持てる7インチサイズの安価なタブレットに入れて現場に持ち込んでいます。指定のスマホ以外は動作保証外になるそうですが、元気に動いています(笑)

3Dモデルでプリズムの位置を把握

現場への導入効果はいかがですか

小山

特に掘削や床堀、構造物等、丁張を掛けたポイントの高さしか分かりませんでしたが、FIELD-TERRACEの活用でその中間の細かいポイントまで丁張を掛けるなど、細かい作業が可能になりました。また掘削の高さを管理することで余計に掘る無駄も防げるなど、現場管理に非常に役立っています。

佐藤

先日、若手が「この3Dがめちゃくちゃ分かりやすい」と言ってました。LINE電話がかかってきて、分からない所があると言うので「3Dにしてみろ」と。そうしたらFIELD-TERRACEで3Dモデルをぐるぐる回して、「ここだ!」と……すぐ解決できたようです。

現場での3D活用で若手社員が独り立ち

3Dモデルの通りに重機で施工

3Dデータ活用が普及して現場に変化は?

佐藤

以前は「ここにこういうものができる」ということを、もう一から丁張を立てて、この位置にこの高さで道路はこういう風にできる……ということを事細かく表現し、説明しなければ理解してもらえませんでした。いまは前述の通り重機にもTREND-COREの3Dデータを入れてあるので、ARで仕上りを見せてイメージを湧かせば、後は重機のシステムが示す通りやってもらうだけ。私たちは現場に行かずに済み、大いに手間が省けました。

その変化はどんな風に現れましたか

佐藤

現場からの問い合わせ電話が減りましたね。以前は私が現場にいないと毎日問い合わせの電話がありました。「この高さはどこに合わせる?」とか「どこに摺り付ける?」とか「道路の勾配は?」とか「土嚢の位置は?」とか……それが減ったんです。作業員も内容を理解して進めているので、確認も要所要所だけで済むんです。実際に働く人の工事内容の理解が一番進行をスムーズにしますね。

若手社員も自ら進んで仕事に取り組む

「見れば分かる」3Dモデルの効果ですね

佐藤

効果なら、若い人の「やった感」が大きい点も見逃せません。彼らは言われてやるのではなく、私がいない現場で「自分から進んで」やる。だからやる気も出るし仕事も早く進む。会社の利益にも繋がるかな、と。昔は私も作業員にプリズム持たせて「あっちへ移動して」「間違えたのでもう1回移動して」という感じで、たぶん皆がつまらなかったと思います。でも、最近は若い子も3Dデータによる作業が「面白い」と言います。私たちも3Dデータを作りモデルを作る作業が面白くて堪りません。一番大切なのはそこで……最初から最後まで全て自分たちでやるから面白いんです。面白くなければやってないかな(笑)。

小山

データ作りも楽しいし面白いですね。

(取材:2022年7月)

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佐藤 雅史取締役専務
1 級土木施工管理技士

小山 雄輝工事課 工事長
1 級土木施工管理技士
2 級舗装施工管理技士

株式会社羽田組

創業:1931 年1 月
代表者:代表取締役 佐藤公明
本社:長野県小県郡長和町
事業内容:一般土木、舗装、建築工事ほか

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